白い部屋。【虹】 (ページ7)

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「あ…、智洋、そろそろ時間だね。」

もう12時を回った時計を見る。

緑「せやね。…でも流星はまだこーへんと思うねんけどなぁ。」

その時、ドアが乱雑に開けられる音がした。

青「神山、まだおったんか。」

声のする方を見ると、綺麗なブロンズヘアに前髪を少し目にかけた男性がいた。

緑「…流星も来たし、俺もう帰るわ。また一週間後な、A。」

そう言ってひらひらと手を振って出て行く智洋。

残された部屋には、流星さんとほんの少しの気まずさだけがあった。

「あの、流星さん…？」

青「…流星でええ。そっちの方が燃える。」

燃える…？

なんの話だろうと思っていると、流星が近付いてきてベッドに押し倒される。

「っ、なに…！」

青「そのまんま。…その反抗的な目、そそる。」

流星の綺麗な顔が近付いてきて、思わず目を瞑る。

もう流星の吐息さえ感じられる距離になったが、その時はやってこなかった。

青「…今日は初対面やから、やめといたるわ。」

流星は私の上から退いて独り言のように呟いた。

青「俺、そういう事しか興味あらへんから。やから、Aのこともそういう目でしか見てへん。」

青「…俺には期待せん方がええよ。」

期待、というのは私が誰かを惚れさせなければならない話のことか。

つまり、流星は快楽にしか興味がなくて私はその過程の道具。

だから私のことは好きにならない。

私だって、今まで誰かを好きにさせようと思っていた訳ではないけれど、よく考えると私は誰かを好きにさせなければならない立場にある。

「…そう。別にいいけど。」

とは言ったものの、今だって誰かを好きにさせようとは思わない。

青「…はぁ、だる。出来ひんなら意味ないから寝るわ。」

そう言って流星は部屋を出ていった。

それから、毎食食事を運びに来る時以外には流星は来なかった。

でも、朝食を運んで来た時に青い背表紙の本を持ってきてくれた。

1日何もしとらんと暇やろ、と言って渡した本は人間論について綴られている難しそうな本だった。

でも、やることも無いから本を開いてみるとかなり年季が入っているようだった。

所々ページが折られていたり、何かを零した跡さえある。

…ああ見えて、意外と本とか読むんだ。

面白くて読み進めていると、いつの間にか本を開いたまま寝落ちしていた。

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