白い部屋。【虹】 (ページ16)

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紫「これが本当の理由。」

濱田さんは容赦なく刃物を突きつける。

私はそれをただ受け止めるしかない。

紫「…ほんまは重岡は関係なかったんや。このゲームも、俺らも。」

紫「Aちゃんが俺らに売られたって知ってから、俺らの仲間に入れて欲しいって来て。」

重岡くんが…？

ますます意味が理解出来ない。

紫「元々重岡以外はそれぞれの組織の跡取りで俺と絡みあったんやけど、重岡は後から入ったメンバーでさ。」

濱田さんはどこからともなく例のシガノフ・レインボーを取り出し火をつける。

白い煙が行き場を無くした私と重なる。

紫「…本当は、お前は重岡に助けられて殺されへんってわかってた。」

紫「でもそれやと面白くないやん？」

濱田さんはニコリと笑みを浮かべたが、目の奥が笑っていないのはすぐわかった。

紫「…やから、重岡以外の6人がAちゃんのこと落としたら借金がチャラになる、ってゲームしててん。」

紫「逆に重岡が落としたら、借金は重岡が背負う。」

紫「好奇心が勝つか、愛が勝つか。楽しそうなゲームやろ？」

濱田さんは相変わらずタバコを吸ったり吐いたりしている。

白い煙は元々わからない濱田さんの表情を、更にわからなくさせた。

紫「もうええやろ。さ、始めようや。」

濱田さんはゆっくりと私を抱きしめた。

彼は冷たいはずなのに、その感触はちゃんと生身の人間で。

嫌でも暖かい体温が私を包む。

「っ、濱田さん、」

あまりにも官能的な手つきで唇をなぞれば、全神経はその動きに集中してしまう。

紫「この瞬間だけは、忘れさせたる。」

深い口付けに溺れる。

まだシナモンバニラの甘く苦い香りはこの部屋を支配していた。

もういい、全て忘れさせて。

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