白い部屋。【虹】 (ページ11)

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この生活が始まってから丁度一週間が経った。

今日は2度目のあっくんの担当日。

橙「久しぶり、Aちゃん。」

「うん、久しぶり。」

あっくんは部屋に入るなり私をハグしてくる。

「どうしたの？」

橙「んーん。なんか甘えたなって。」

私より年上のはずなのに、甘えてくるあっくんが可愛くて頭を撫でる。

橙「Aちゃんの撫で方好きやわぁ。」

「そう？ありがとう。」

これが恋人同士の日常なんだろうな、と想像して少し苦笑いする。

私には程遠い、というか恋人も出来ないまま人生が終わってしまう可能性だってあるのに。

重岡くんだって、ここにいる7人の男の子だって私の事は好きにならない。

一時的な遊び道具であって、それ以上にもそれ以下にもならない。

「ねえ、あっくん。」

橙「なに、Aちゃん？」

「んふふ、幸せだなぁって思っただけ。」

少しずつ色が咲いた部屋に、支配されて死んでいく。

私が想像する未来は、残り3週間で完結していた。

橙「ガーベラ、綺麗やな。」

「うん、毎日水あげてるんだよ。」

橙「それは良かった。」

あっくんはガーベラを見ながら微笑んで、次に私に目を移す。

私を見るなり少し困った表情をしたので、なんだろうと思っていると。

橙「あのさ…、その首の、」

「あ…、」

昨日重岡くんがつけたマークの事を言っているのだろう。

橙「誰に、付けられたん？」

「…え…っと、」

橙「…上書きするから、誰でもええんやけど。」

さっきの甘えたなあっくんとは明らかに違う。

あっくんは私の肩を掴み、首筋に口付けた。

吸うだけでなく、噛み跡も残すから痛くて声が出てしまう。

橙「ごめん、痛かった？」

「うん…。」

橙「でもその声、良かった。」

何か楽しいイタズラを思いついた子供のように笑えば、始まることなんてひとつしかなくて。

橙「俺は優しい方やと思うよ？淳太なんてやばいやろなぁ。」

行為が終わってあっくんがそう言った。

中間さんの当番は明日だ。

橙「まあでも、2週間目となればみんなそういう事するやろ。明日から頑張りや？」

あっくんは冷たく笑った。

「…うん。」

現実を突きつけられた悲しさを吐き出すように、布団を握る。

やっぱり、期待するだけ無駄だ。

部屋を出ていくあっくんの背中を、ただ見つめていた。

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