case8.D.O. ページ36
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空は雲一つない晴天。
街はどこもかしこも壊れてて、飢えて死んでいく人々。
私は王族の娘で、何不自由なく生かされている。
また隣の国で戦争が始まるらしい。
そんな話は聞き飽きたし、私にはどうする事も出来ないのがもどかしい。
国王である父親に逆らえる訳もなく、私に許されている事は綺麗に着飾って良い女性を演じることだけ。
国際的なパーティに呼ばれては金を使って威勢を張って、国民のことなんて考えもしない父も政府もうんざりだ。
この国でも戦争は長引いていて、いつ終わるか分からない状況。
今日のパーティは私の住んでいる宮殿で軍や政府の偉い人を呼んでもてなしてるみたいだけど、こんなの必要ない。
…はぁ、抜け出したい。
こうしている間でも国民は飢えて死んでいっているというのに。
「…ごめんなさい、少し席を外していいかしら。」
我慢が出来なくなった私は、近くに居た警備員に声を掛けて自分の部屋に戻ろうとした。
父も母も、どうせ私が居なくても気付かない。
自分たちの見栄えばかり気にして、私自身のことなんて見てないから。
「はぁ…。」
誰もいない事を確認して小さくため息をつく。
長い廊下に私のため息は消えていく。
ぼんやりと窓の外を眺めては、無力な自分に嫌気がさした。
「ため息なんて吐いてどうしたの？」
突然後ろから聞こえた聞き覚えのない低い声。
ばっと後ろを振り返ろうとすると、後ろから口を塞がれて身動きが取れなくなる。
私は襲ってきた男にもたれ掛かる形で、抵抗も出来ずにただ息を止めるしかなかった。
「バカな催し物のおかげで宮殿にはすんなり入れたし、王族の姫は平和ボケしててすぐ捕まった。僕じゃなかったら殺されてたよ、A？」
恐る恐る首を後ろに傾けると、どことなく憂いを帯びた美しい青年と目が合う。
青年は私のすぐ後ろでそう言うと、笑い声をこぼしてナイフをチラつかせた。
下手に動くと殺される。
こんな時代じゃ王族の暗殺なんて珍しくないのに、宮殿の中だからと油断してた私がバカだった。
「ころさ、ないで…、」
私が抵抗しない事を確認すると、彼は少しハンカチで抑える力を緩めた。
その隙に小さな声でそう伝える。
怖くて涙が溢れそうだったけれど、泣いたら終わりだ。
王族たるもの、舐められないように、凛々しく対応しなきゃいけない。
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ぼぷぴ(プロフ) - 貴方様が書くお話、本当に面白いです…！！今回のギョンスのお話も最高でした…いろんな意味でドキドキが止まりませんでした！！これからも応援しています！ (2020年3月24日 16時) (
レス) id: eb25947e96 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう。(プロフ) - 1話1話がすごく読み応えがあって面白いです。シウミンさんの物語とスホさんの物語が個人的にすごく好きです。これからも作者さんのペースで更新して頂けるとうれしいです。 (2020年3月17日 3時) (レス) id: 622a208a12 (このIDを非表示/違反報告)
猫わかめ - 今日初めてこの小説を見つけたのですが、とてもハマって一気に読んじゃいました。どれも狂気的で特にセフンくんのは結末に鳥肌がたちました。すごく面白かったです。これからも頑張ってください！ (2020年2月27日 1時) (レス) id: d5ef40128c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nel_ | 作成日時：2020年2月2日 1時
