. ページ30
.
すぐ目の前にミンソク先輩の顔があった。
びっくりして下がろうとしたけれど、ミンソク先輩がそうさせてくれない。
MS「アイツ、気をつけた方がいいぞ。お前を食いたいって顔してる。」
「なっ…、」
まるで私をからかうように、口角を上げて目を細める。
今まで見たことの無いミンソク先輩に、思わず引きつってしまった。
肝心のミンソク先輩は、私のことなんて気にも止めずに給湯室に向かった。
.
『お前を食いたいって顔してる』…、ね。
だいぶ平常心が戻ってきたところで、この言葉を思い出すとなんとも恥ずかしいセリフだ。
ジュンミョニオッパに限ってそれはないだろう。
そんなことを考えながら帰路に着いていた。
もう真っ暗だし、今日こそは一人で宅飲みを満喫するとしよう。
ビールはあったっけ。
あとおつまみも。
青く光る月に照らされた道に、影がのびていた。
.
ご飯も食べ終わってお風呂もあがって、あとはビールを満喫するだけだった。
内出血の痕はすっかり消えて、もう自分が無意識にやったんだろうと方をつけた。
「…ヨボセヨ？」
どうしてこうも私の至福の時間は邪魔されるのだろう。
久しぶりに実家からかかってきた電話に、温かさを感じながらもタイミングは良くないな、なんて考えながら電話を続ける。
オンマの明るい声を聞いて安心した。
「A？最近どう〜？オンマとアッパは元気よ！それよりアンタ彼氏出来たの？そろそろ結婚も考えなさいよ！」
元気なのはいいけれど、一気に言われても困るしその話は聞き飽きた。
「あー、そろそろ考えてるー。」
適当に流して次に実家に帰る予定を考えながら、切るタイミングを伺う。
「あ！ジュンミョニは元気？よくうちにも遊びに来てたしAの事知ってるし、付き合ってもらいなさい！オンマは大歓迎よ〜！」
楽しそうに話してるけれど、勝手に進められては困る。
それに、ジュンミョニオッパが了承する訳ないし。
「もう、そんな話するくらいなら切るよ〜。じゃあね。」
「素っ気ないわね〜。まあ仕事も恋愛も頑張んなさいよ。あと体調には気をつけてね。じゃあね〜。」
やっぱりオンマはオンマだから、優しさが心に染みる。
…仕事も恋愛も、ね。
仕事ではミンソク先輩は少し優しくなった気がするけれど、恋愛はもう少し先かな。
電話が終わったスマホをテーブルに置いて、隣のビールに手を伸ばす。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 273人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぼぷぴ(プロフ) - 貴方様が書くお話、本当に面白いです…！！今回のギョンスのお話も最高でした…いろんな意味でドキドキが止まりませんでした！！これからも応援しています！ (2020年3月24日 16時) (
レス) id: eb25947e96 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう。(プロフ) - 1話1話がすごく読み応えがあって面白いです。シウミンさんの物語とスホさんの物語が個人的にすごく好きです。これからも作者さんのペースで更新して頂けるとうれしいです。 (2020年3月17日 3時) (レス) id: 622a208a12 (このIDを非表示/違反報告)
猫わかめ - 今日初めてこの小説を見つけたのですが、とてもハマって一気に読んじゃいました。どれも狂気的で特にセフンくんのは結末に鳥肌がたちました。すごく面白かったです。これからも頑張ってください！ (2020年2月27日 1時) (レス) id: d5ef40128c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：nel_ | 作成日時：2020年2月2日 1時
