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それでも朝の爽やかな太陽の光は私を目覚めさせてくれる。
ポケットに入っていたスマホを確認して、今日が日曜日で何も予定が無いことに気付いて安心した。
でも何故か起き上がる気にはなれなくて布団に突っ伏してぐたぐたしていると、ドアが開いてあの綺麗な声が響く。
BH「おはよ、A。」
「ななな、なんで私の名前を!?!?」
名乗ってもいないのに突然名前を呼ばれて、思わず大声を出してしまった。
BH「天界で見てた時に名前知ったんだよね。」
…本当に、なんなのよこの男は。
天界とか訳わかんないし、本当にふざけないで欲しい。
てか普通に名前知ってるの気持ち悪いんだけど。
「…そうですか。もう明るいので行きます。さようなら。」
私はさっさとこの館から出て、この二日間で起こった出来事を忘れなきゃいけない。
現実でこんなことあるはずないんだから。
BH「えー、もう行くの?俺お前の血がないと死んじゃうんだけど。」
「どうぞ、お亡くなりになってください。」
BH「冷たくない?ねえAちゃん〜もうちょっと居てよ?」
冗談じゃない。
私はベクを睨みつけて身体を押し退け、玄関に向かった。
重たい扉を開けて、辺り一面緑に囲まれた大地に足を落とす。
…ここが何処かわかんないけど、明るいし歩いていれば知ってる場所に着くはず。
スマホで位置情報を検索しようとしても、何故か圏外で繋がらないし。
私は行く宛もなく森の中をさまよった。
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はぁ、はぁ。
どのくらい歩いただろうか。
もう足はもつれて歩けないし、お腹空いたし暗くなってきたし本当に限界。
もしかして私このまま死ぬ?
霞む視界の中、必死に足を動かしていたけれど一向に景色は変わらない。
もうダメかも知れない。
そう思った時、聞き覚えのある綺麗な声がすぐ後ろからした。
BH「なあ、いつまで歩いてんの?」
最後の力を振り絞って振り向くと、ベクが呆れた顔をしてこっちを見ていた。
「ベク…、」
BH「うおっと…、危ない。」
安堵と体力の限界ですぐ力が抜けて、ベクにもたれ掛かるとすぐ意識を失った。
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目が覚めると、あの部屋に居た。
私の顔を覗き込んでるのは、憎たらしいくらい綺麗な顔のベク。
BH「お前何回気失えば気が済む訳?」
「はぁ?だいたい誰のせいで…。」
言いかけて少し頭痛がしたのでやめた。
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ぼぷぴ(プロフ) - 貴方様が書くお話、本当に面白いです…!!今回のギョンスのお話も最高でした…いろんな意味でドキドキが止まりませんでした!!これからも応援しています! (2020年3月24日 16時) (レス) id: eb25947e96 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう。(プロフ) - 1話1話がすごく読み応えがあって面白いです。シウミンさんの物語とスホさんの物語が個人的にすごく好きです。これからも作者さんのペースで更新して頂けるとうれしいです。 (2020年3月17日 3時) (レス) id: 622a208a12 (このIDを非表示/違反報告)
猫わかめ - 今日初めてこの小説を見つけたのですが、とてもハマって一気に読んじゃいました。どれも狂気的で特にセフンくんのは結末に鳥肌がたちました。すごく面白かったです。これからも頑張ってください! (2020年2月27日 1時) (レス) id: d5ef40128c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nel_ | 作成日時:2020年2月2日 1時