1.不気味な森の中 ページ3
肌にじめじめと纒わり付くように辺りを漂う、冷たく湿った濃霧。
視界の大半はそれに遮られていて、自分から数メートル離れたところまでしか認識することが出来ない。
居るだけで心を病んでしまいそうな不気味な森の中で、私はキョロキョロと辺りを見回しながら歩き回っていた。
「……っ、ここ、どこ……足痛い……」
ついさっき捻った右足首が、ズキズキと脈打つように痛む。
視線を走らせると、ずり落ちたソックスから青紫色に変色した肌が覗いていた。
目視したせいか、更に痛みが増す。
あまりの鋭痛に、私は近くにあった木の幹にストンと腰を下ろした。
少し湿っていたけれど、この際そんな事はどうでもいい。
そっと右足首に触れると、微かに熱を帯びているようだった。
(……本当に、どうしよう)
ーー今日は、お父様の命日だった。
私を産み、命を落としてしまったお母様と、そんなお母様を過度に想い、病を患って亡くなってしまったお父様。
両親が亡くなった根本の原因が私にあると知ってからというもの、私は酷く自分を責めた。
その思いを忘れたことはないーーけれど。
私は一度も、二人のお墓参りに行かなかった。
……違う、行けなかった。
お墓が、村の外れにあったから。
村の人達と「絶対に村から出ない」という約束をしている私は、一歩たりとも村から出してもらえず。
毎年自責の念に駆られ続け、ついに今年ーー
ーー黙って、村を出てきてしまった。
お父様とお母様のお墓に、お参りするために。
「……悪いこと、しちゃった、よね」
ポツリと、当たり前のことを呟く。
私が村を出てからもう2時間程度経っている。
きっと今、村では大騒ぎが起きているのだろう。
私の身がどれだけ貴重なものなのか、分かっているつもりだ。
私がどんな存在なのかも、分かっているつもりだ。
それでも、私はどうしても……
(……お父様と、お母様に……謝りたかった)
私なんかが生まれてきてごめんね、って。
死なせてしまってごめんね、って。
もっと、生きたかったよね、って。
言いたいことが、いっぱいあったんだ。
(……でも、結局何も出来なくて、こうして村の人達に迷惑かけてる)
自分の不甲斐なさに、じわりと涙が滲む。
きゅ、と閉じた瞼の裏は、森よりもずっとずっと真っ暗だった。
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ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！(´;ω;｀) (2019年12月11日 1時) (
レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 人外の作品大好きです！これからも更新無理のない程度で頑張ってください！ (2019年8月11日 21時) (レス) id: 9386fcb447 (このIDを非表示/違反報告)
関西風しらすぅ@坂田家 - うわ…坂田さん可愛い…志麻さんどこいった…好きやわ…人外もんはいいゾ〜 (2019年7月6日 17時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
風空 - 吸血鬼もの大好きです！また毎日の楽しみが増えました(*´ω｀*)更新楽しみに待ってます！自分のペースで頑張ってください！ (2019年5月27日 22時) (レス) id: 7d8b5dcb68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏れもん | 作成日時：2019年5月26日 20時
