・ ページ8
.
「は?お前馬鹿なんじゃねぇーの?人を喰っておいて悪くないなんておかしいだろ。」
「何の罪も無い人を殺して喰べるのは、どんな理由があろうとも許されることでは無い!!」
それは貴方達も同じじゃないの?
口から出かけたその言葉を飲み込む。
私は悪者なんだ。
どんな理由があろうとも。
私ではない誰かが原因でこうなったとしても。
彼らの持つ刀には【悪鬼滅殺】と刻まれていた。
つまり、私を殺す為だけに此処に来たと言うこと。
『・・・私を今殺した所で、此処に来る人が報われないけど良いの?』
私がそう言うのと同時に子供の声が聞こえる。
「あっ!お母さん!あの人が【生き神】様じゃないの?凄い!やっぱり今日が宴の日だからかな?」
「そうだね。噂に聞いていた通り、本当に美しい方...」
『初めて見る方ですね。最近引っ越して来られたのですか?』
「そうなんです!ところで後ろの人は...?」
『あぁ、さっき来られた方ですよ。本当に神様なのか疑っているんです。
私も人のことは言えませんが、派手な容姿の方々ですよね。』
「生き神様の他にもこのような派手な人がいらっしゃるんですねぇ。」
親子はこの場を去っていった。
「オイ、お前、さっきのはどういう事だ?」
『見て分からなかった?私は千年間、此処の生き神様として崇められているの。それにしても運が悪かったね。
よりによって1年に1度の宴の日に私を殺しに来るなんて。
じゃあ、私は宴の準備があるから。』
そう言って呆然としている2人の前を通り過ぎ、
私は社に入って行った。
・・・まただ。
この神社にある、黒い鉄の扉の向こうから。
【彼岸への扉】から。
私はその扉を開け、中に入る。
『私がただの鬼だったら良かったのに。』
巫女も彼女の母親も知らない、彼女だけが知る秘密
『さっきの"柱"の人達は私を悪と言っていたけれど、本当にそうかな。
・・・悪ってなんだろうね。』
その扉の向こうには、大きな川が流れており、
その川を人が渡る度に硝子の壊れる音がしていた
『悪って何だと思う?____【閻魔】』
.
8人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:果鈴 x他1人 | 作成日時:2020年10月14日 18時