【第一話 鬼になった生き神様】 ページ3
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物心ついた時から私は神社に居た。
『ねぇお母さん。私は此処から出たら駄目なの?』
「そうですよ。貴女は神様の生まれ変わり。神様は神社から出てはいけないんです。」
『でも外に出てみたい。本で読んだの。外は楽しいものが沢山あるって。』
「執拗いですね。駄目なものは駄目。これ以上言うなら一生出れないよう縄で縛りますよ!」
『・・・御免なさい。』
私は神様の生まれ変わりだから神社から出たら駄目。
小さい頃からそう言われ続けていた。
両親は黒髪黒目なのに私は何故か白い髪に水色と桃色の目。
それに、小さい頃から周りと比べて大人びていたから余計にそう思われている。
私は神様なんかじゃない。
神様なら、雪の降る日に花を咲かせれる。
でも私は咲かせられない。
神様じゃないって少し考えれば分かるのに、どうして大人は信じるんだろう。
結局私は何時まで経っても此処から出ることが出来ず、そうこうしている間に6年が過ぎた。
『母さん。今日は神聖な祭りの日ですよね。それなのにこの【血】は何ですか?』
「それを飲みなさい。これは貴女に必要なものです。飲むと不死身になれます。」
『・・・嫌です。』
この日、生まれて初めて私は母さんに反論した。
それまでは全て親の言う通りにして来た。
だけど誰の血か分からないものを飲むなんて、正気の沙汰では無い。
それに、この血はどこか嫌な気配を漂わせていた。
「いいから飲みなさい。」
『嫌です!』
「さっさと言う通りにしなさい!!」
乾いた音が響き、その後に来た頬の痛みで叩かれたのだと理解した。
『ッ!やめて!!嫌だ!飲みたくない!!』
そして母さんはいつの間に呼んだのか、巫女さんに抵抗する私を押さえつけさせた。
「無駄な抵抗はよしなさい。貴女はこれを飲んで立派な神となるのです。」
母さんは抵抗出来なくなった私の口に血を流し込んだ。
吐き出そうとするも、口を押さえられているから吐き出せない。
上を向かされ、嫌でも喉の方に血が流れて行き、
「よし、飲みましたね。」
私は血を飲んでしまった。
それと同時に、私は激しい頭痛に襲われた。
『ッ、ぁ、ぁ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!』
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作者名:果鈴 x他1人 | 作成日時:2020年10月14日 18時