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ずっと、自分は違うと思っていた。
私は神様なんかじゃないと。
私は雪の降る日に花を咲かせられないから。
それがどうだ。
鬼になってから花が出せるようになった。
花が出せるようになった時、怖かった。
本当に神様になってしまったのかもしれないと。
でも、それは鬼になったからだと思っていた。
私の命を狙う鬼殺隊を見た時、私は死にたいと思った。
けど、陽の光を克服した私は死ねない。
どれだけ首を斬られても再生する。
人ではない醜い生き物だと思っていた。
神社での私は生と死を操る神様だった。
前世での私も生と死を操る神様だった。
これは偶然なんかじゃなかった。
花造蒼天命は花を造って人を生かしたり殺したりすることが出来る。
私もそうだった。
そして、私は私情で人を助けてはならない。
そんなことをしたら人が沢山増えて、収集がつかなくなるから。
だから人に頼まれた時だけ助けた。
花造蒼天命は人が嫌い。
私は人が好き。
私が美命じゃなくて花造蒼天命になってしまったら、
《人が此処まで愚かな生き物だとは思わなかったわ。》
嫌だ。こんな冷たい人になりたくない。
だけど。
私と花造蒼天命だと、花造蒼天命の方が格上だ。
強く、そしてこの世のことを沢山知ってる。
それに対して私は弱く、そしてこの世のことを全然知らない。
私が色々と御託を並べる暇があったら、花造蒼天命に全て託そう。
『私は生命を司る神、花造蒼天命。
今まで美命の世話をしてくれてありがとう。閻魔。
もう、大丈夫よ。』
美命という人物はもう二度と現れない。
【第四話 視ているもの】[完]
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作者名:果鈴 x他1人 | 作成日時:2020年10月14日 18時