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炭治郎君を現実世界に返した後、私は閻魔と喋っていた。
『ごめんね。閻魔。秘密を知られたから鬼殺隊入れない。』
「それぐらいいいさ。代わりにコッチで沢山働いてくれよ!」
閻魔は優しいなぁ。
涙が零れ、頬を伝っていく。
閻魔の仕事を軽くしたかった。
昔、自分が救われたように何か恩返しがしたかった。
『・・・うん。鬼殺隊には入らない。』
「そうか。」
『うん。じゃあね...輪廻。』
「!!」
輪廻。それは閻魔の小さい頃の名前だ。
私が小さい頃、神社によく遊びに来てくれて、外に出れなかった私にとって、閻魔の話は新鮮で大好きだった。
けど、彼女の黒い髪に深い紫色の目は不気味だと気味悪がられ、輪廻は神社に入ることが出来なくなった。
彼女は人ではなかった。
地獄の住人で、地獄の王...閻魔の娘だった。
閻魔とは、死者の生前の罪を裁く者。
彼女は親が死ぬと閻魔になり、死者を裁くようになる。
その為に小さい頃は地上で人とはどういった生き物かを身をもって確かめる。
輪廻に、人はどのように見えていたのかな。
強い力を持ったナニカを頼りにしないと生きていけない愚かな生き物だと思ってたのかな。
人を喰べた日の夜、閻魔が私を地獄の鬼にしてくれた。
鬼舞辻無惨の血を抜いて、私に呪いをかけた。
地獄の鬼になるという呪いを。
私は周りの人に恵まれている。
過去がどうであれ、私の大切な人達は皆良い人だ。
さて。
本来死ぬ予定の人を救うのは鬼の規則違反だ。
彼には死んで欲しくない。
その炎を絶やして欲しくない。
『炎柱、煉獄杏寿郎さん。貴方も鬼になりませんか?』
陽の光のような優しい心を持つ貴方に。
自分の正義を貫き通す貴方に。
沢山の人々を救った貴方に。
炎のような貴方に。
陽の光とは違う光を見て欲しい。
【第三話 陽の光】〜完〜
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作者名:果鈴 x他1人 | 作成日時:2020年10月14日 18時