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「えっ?貴女、人を喰べていませんよね?」
『何言ってるの、私は平安の頃から人を喰べ続けている悪鬼だよ。』
「でも、嘘の匂いがします!」
・・・この子は鼻が利くんだ。
そして、何処までも優しい人。
そんな優しさが自分の身を滅ぼすんだ。
『私は嘘ついていないよ?』
「でもっ!貴女からはずっと、嘘の匂いと、苦しんでいる匂いがします!!」
何で、
『何で気がつくかな、』
道の真ん中で立ち止まっていた彼女はとても優しくて悲しい匂いを放っていた。
そして何かに苦しむ匂い。
俺は思わず声をかけていた。
彼女は見た目も心も綺麗な人だった。
彼女は自分が鬼だと言ったけど、鬼の匂いはしなくて、寧ろ生き物の匂いがしなかった。
感情がなければ何も居ないと思ってしまう程に。
『ごめん、少し異空間に飛ばすね。』
そう言うと俺は大きな川の流れる綺麗な場所に飛ばされた。
『自己紹介をしようか。私は美命。地獄の鬼よ。』
「お、俺は竈門炭治郎です!」
地獄の鬼
そう聞いた時、妙に納得がいった。
彼女の人間離れした姿。異空間に飛ばすことの出来る術。
でも天女のような彼女に地獄は不釣り合いだ。
「天女じゃないんですか?」
『天女じゃないかな。
私、生き神様って崇められててさ、元々は人間だったんだ。けど、母に鬼の血を飲まされて鬼になった。そしてその時母を殺して喰べた。
それと同時に私の中に眠っていた何かが目覚めたんだろうね。
その日から私は地獄の鬼になった。
巫女が殺してくる人を食べるふりをして後でこっそり埋葬してた。
人の言いなりになって我慢して。
ずっと人を喰べたって自分に暗示を掛けてた。
君が救ってくれたんだよ。竈門炭治郎君。』
________________ありがとね
そう聞こえるか聞こえないかぐらいの所で俺は目が覚めた。
「え、あれ?美命さんは...。」
「君!!生き神様を見た!?」
俺が美命さんと呟くと、近くを通りかかった巫女服の女性が声をかけてきた。
「生き神様"は"見てないです。」
俺が見たのは美命さんであって、生き神様ではないから
暖かい風が頬を撫でていった
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作者名:果鈴 x他1人 | 作成日時:2020年10月14日 18時