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《Your side》
途方に暮れていた私を教室まで連れていってくれたキムスンミンくん。
SM「Aさんってば」
名前も知らない他人から隣席のクラスメイトになり、急激に距離が近づいたせいで、私は初めだけ少し彼のことが怖かった。
何せ交友関係を築くのは幾年ぶりなのだ。休み時間も声をかけてくれる人がいるのは嬉しいんだけれど、反応に困る。
『なに?キムくん。』
上手く距離感の掴めない私は、素っ気ない返事をしてしまう。ごめん、キムくん。
SM「最近思ってるんだけど、キムくんってなんかちょっと遠くない?心の距離がさ」
『そういうキムくんだって私の事苗字で呼ぶじゃない』
SM「そうだけどさぁ」
効果音をつけるならむー、っと文字通り頬を膨らませて悩むキムくん。
べつに名前で呼んで欲しくないわけじゃないんだけどな。私が距離感掴めないから一方的に苗字で呼んじゃってるだけだし。
思ったことを伝えようと口を開く。
『……べつに』
しまった。ちゃんと言いたいことをまとめないとまともに話せないたちなのに。思うがままに口を開いてしまった。
SM「べつに?なに?」
『あ、えっと、べつに私さ、苗字で呼びたくて呼んでるんじゃないし、苗字で呼んで欲しいわけじゃないの。ただ、こんなに私に話しかけてくれる子、キムくんがはじめてで。』
要らぬことまで口走ってしまった。緊張しいである以上、この達者な口が止まることは無い。
『よく分からなかったの。どんな距離感で話せばいいのか、もちろんなんて呼んだら不自然じゃないのかとか。こんなに不器用だから、話しかけてくれる子も少ないんだけどね。』
挙句の果てに自虐まで交えて話してしまった。
急に口を開いたと思ったらマシンガンのように会話を紡ぎだした私に、キムくんはぽかん、と口を開けていた。
引かれちゃったかな……
なんだか居た堪れなくて、少し私がキムくんから目を逸らすと、それとほぼ同時にキムくんが両手で私の肩に優しく手を置いた。
SM「ありがとう。まだ知り合って時間も経ってないのに、僕に君の、Aさんのこといっぱい話してくれて。
僕、Aさんのこともっと知りたい。ゆっくりでいいよ。
ねえ。いちから、じゅうまで。教えて?Aちゃん。」
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1/21 12:19
第1話呼び方修正しました。
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作者名:でんでんい | 作成日時:2024年1月21日 2時