いちから、じゅうまで (ページ47)

今日:29 hit、昨日:26 hit、合計:32,777 hit

19 ページ47

《Your side》

8月1日。何でもない夏休みのうちの一日だったはずの今日は、珍しく予定が入っている。
他の誰でもない、私の大好きな人。

普段血色を気にして申し訳程度にリップだけ塗って登校していたから、久しぶりのメイクに少し緊張する。
髪はボブだからあまりアレンジが効かないけど、横を編み込みにしてみた。何度も鏡を見てセルフチェックを行う。今日この日のためだけに買ったおろしたてのワンピースに心が躍り、くるくると玄関の姿見の前で回っているとインターホンが鳴って、びっくりして思わずバランスを崩して転倒した。

こけたときにできたワンピースのシワを伸ばして、扉を開けると

SM「……大丈夫？すごい音がしたけど」

と、少し屈んで私を見つめるスンミンくんがいて

『だ、だいじょうぶ、荷物取ってくる、少しここでまってて』

カタコトになった言葉を紡いで、逃げるように玄関から去って急いでカバンを手に取る。

『おまたせ』

落ち着いたように見せたくて、スンミンくんの方を見ずに言葉を発すると

SM「髪の毛、自分でやったの？可愛いね。」

うんうん、と頷きながら髪を優しく撫でてきて、パッとスンミンくんの方をつい向いてしまった。

SM「ふふはっ、やっとこっち見た」

今日はじめてちゃんと見たスンミンくん。学校の時は寝癖が少し残っている髪の毛は綺麗に整えられていて、思わずどきどきする。

私服もはじめて見るな。白でまとめられた上下は、とても清潔感があってスンミンくんらしい。

『スンミンくん、服似合ってる。かっこいいよ』

さっき可愛いって言われたから、仕返しをしてみると、スンミンくんは急に目を逸らしてそっぽを向いてしまった。

SM「はずかしい、みたらだめ」

『ええっ？どれどれ。』

SM「わあああっ！？ほんとにだめ！！みないで！！」

玄関の壁の隙間に入り込み、頭を上げて目を合わせようとすると、耳まで真っ赤な顔のスンミンくんがいた。

SM「…かっこいいとか、あんまり安直にいっちゃダメ」

訂正。やっぱり可愛いかも。

スンミンくんの知らない一面が見れて満足したので、駅の方に向かおうと提案して、拗ね気味のスンミンくんを引っ張るように二人で歩き出した。