いちから、じゅうまで (ページ46)

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《Seungmin side》

ついカッとなって色々言ってしまった。ミノヒョンには後でしっかりと時間を取ってもらって謝ろう。
今は少し頭を冷やしたい。そう思い自室の窓を開ける。
夏だからか、特に室内と変わらない気温だが、吹き抜ける風が心地よい。

SM「Aに、心を揺さぶられすぎてる」

そして、反省会を始める。今回ヒョンにきつく当たってしまったのも、全部Aへのどす黒い独占欲からだった。
この汚い僕の内奥の想いを知ったら、Aはどんな気持ちになるんだろう。
侮蔑か、呆れ返るのか、はたまたそれすらも受け入れてくれるのだろうか。

第一、僕はAに思いを伝えられるのか？

勿論伝えたいし、あわよくばAと結ばれてしまいたい。Aが知らないことは全部僕が教えてあげたい。僕が16年間守ってきた全てのはじめてを、Aにあげたい。それと同じようにAのはじめてだって、ひとつ残さず全て僕が貰いたい。いつかは僕の名字を名乗って欲しい。そして死ぬまで、いや死んでもそばにいたい、そばにいてもらいたい。そう思うほどには好きなのに、大好きなのに。

もし拒絶されてしまったらと考えると、足が竦んで動かない。

Aの存在無しで、僕はどう生きたらいいのかがもう分からない。

SM「………A」

僕の心を投影したかのような黒が広がる空に、呟いた最愛の人の名前は溶けていった。