いちから、じゅうまで (ページ45)

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《LeeKnow side》

スンミニの怒気を孕んだ声を最後に通話は終了した。

今日はじめてまともな会話をした、日頃から世話を焼く犬の名前を出すと表情にこそ出ないが声が上ずり、あからさまに焦る正面の女の子。

付き合っていない、ときっぱり否定をした割に、彼女の口から出る人の名前はスンモがほとんどで。

Aはスンモのことが好きなんだと感じる。

俺は恋をする女の子を弄ぶような不誠実な男じゃないけど、不器用だからこういった方法でしかAとスンモの背中を押せない。

スンモがAのことが好きなのはずっと知っている。

教室でいたずらを受けて拗ねるAを、十年来の友人である俺ですら見た事も無いくらい愛おしそうに目を蕩けさせて見つめて謝るスンモを見れば、嫌でも分かる。

そう、俺ですらはじめて見たんだ。スンモのそんな顔。

きっと今アイツははじめて恋をしてる。
その恋心の矢先に居る女の子も同じようにアイツに恋をしているんだと思う。

友達の恋の成就を願わない奴なんて、意中の子が同じ人だった場合だけだろ。

曲がりなりにも俺だってスンモが大事だし、アイツには幸せになって欲しい。

だから、周りの油断をせずにスンモとAが二人で幸せになることだけを考えてほしい。

不器用な俺を許してね、スンミニ。
俺はオマエの為なら悪役にもなれるよ。
頑張って早く幸せになってくれ。