いちから、じゅうまで (ページ38)

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《Your side》

『はぁ……』

帰ってすぐ、制服も脱がずにベッドに寝転がる。

勢いでスンミンくんとカトクを交換して、一緒に帰って。
おうちまで送り届けて貰っちゃったや。申し訳なかったな…

可愛らしい犬のイラストが描かれたアイコンの横には승민이と書かれており、それを読んだ私は子どものようにすんみに、と読み上げてしまった。

スンミニって可愛いな。スンミンくんとしか呼んだことがなかったから気づかなかった。

『あ、でも一回だけスンミナって呼んだこと………』

あるな。
肯定の言葉が口から漏れる前に、恥ずかしくなって喋るのをやめた。
呼び捨てもアリかもしれない。だって同い年だし。だけど、一気に距離詰めたら多分引かれちゃうし。

第一、スンミンくんは何故こんな一クラスメイトの私に貴重な夏休みの一日を譲ってくれるのか。
私は学校にイエニ以外でスンミンくんしかお友達がいないけれど、スンミンくんはそうじゃない。お昼を食べるお友達も、ほかのクラスからたまに訪ねてくるヒョンジンくんも、ミノ？リノ？先輩？もいる。きっと部活にも、他校にだって沢山お友達がいるだろう。

絶対に忙しいはずなのに、どうして。

一度考え出すとなかなか止まらなくて、ちょっと気分が落ち込む。そんな気を晴らすべく、カトクを開いた。
トークルームはもちろん승민이。

すんみに、すんみに。とまた子どものように読み上げては、慣れない呼び方が少し擽ったかった。

『スンミニ、もうついた？』と何気なく入力した後、自分がスンミニと呼ぶことを受け入れてしまっている自覚をしてしまって、急いで名前だけ消して送った。

恥ずかしくて、『ごめんね、遠かったでしょ』とか余計な気遣いの追いメッセージまで送っちゃった。きっとスンミニは善意でやってくれたのに。

ああでもないこうでもないと、沢山色々なことを考えすぎたせいで少し頭が痛くて、私はベッドに顔を埋めながら意識を手放した。