16 ページ35
《Seungmin side》
全部やろうとかよくわかんないこと言っちゃった
Aちゃんドン引いてないかな
大丈夫かな
やばい、早く返事して
拍動のテンポが上がりはやる気持ちを抑え、きゅっと強く目を閉じながらAちゃんの返事を待つ。
『…る』
しばらくして、よく聞き取れないAちゃんの声が聞こえ、もう一度聞きたいとお願いするために顔を上げようとした途端
『…ずるい』
と呟かれ咄嗟に意味を聞こうとして今度こそ顔を上げると
SM「どんな意__『ずるい』」
『わたしも誘おうと頑張って考えてたこと、スンミンくんはひょいと乗り越えてその場でわたしの想像の上を行くことばっかり言うから、ずるいの』
目が合ったAちゃんの顔は茹で蛸のように耳まで真っ赤で、余程悔しいのか真っ黒の大きな瞳いっぱいに涙の膜が張っている。
そんな顔で睨まれたって僕には効かない。
寧ろAちゃん自ら褒美を与えているようなものだっていうのは、本人は分かっていない。
16歳、思春期真っ盛りな男子高校生。どんな女性にだってそんな扇情的な顔をされてしまえば、嫌でも込み上げるものがある。
ましてや意中の人の一挙手一投足によるえげつない心の暴れ具合なんて、綺麗なAちゃんは、知らなくていい。
ずるいのはどっちだか。
その言葉を飲み込んで、僕は
SM「えへへ、そんなに褒めても何も出ないよ?」
と大暴走する心に鞭を打って、冗談を混じえ余裕そうにした。
その姿が余計に不服だったのか
『褒めてなんかない』
なんて言うAちゃんに脇腹をぽこ、と殴られた。
246人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:でんでんい | 作成日時:2024年1月21日 2時