・ ページ32
・
『何言ってんの』
IN「遊びに行きたいんじゃないんですか?ヒョンと」
イエナに問われ、言葉に詰まる。
長い私の沈黙を肯定と看做したのか、
IN「よし、それじゃあ誘ってみましょう」
と目を細めた。
計画がかなり決まってきた段階で、イエナは私に爆弾を投下した。
IN「ヌナは、ヒョン……スンミニヒョンのことどう思ってるんですか?」
聞かれても、言わないつもりだった。
けれど、ここまで私に協力的な姿勢のイエナに何が隠し事をするのも億劫だった。
『………たぶん、いや…絶対、好き。私、恋したことないから、わかんないけど……』
しどろもどろで答えると、期待通りの返答が来たのか
イエナは両の糸目を線にして微笑んだ。
________________________
そして、今に至る。
隣で黙々と行き先やプランを考える彼は、本当にずるい人間だ。
SM「責任取って僕と遊んでよ」
___正直、体育祭に出るか出ないかの問題に責任もクソもないだろ、とは思った。
けれど、それ以上に嬉しかったし、悔しかった。
遊びに行きたいと思っていたのは本当。だから誘ってもらえて嬉しかったし、一時の感情の昂りで私を誘えるスンミンくんを、昼休みをめいっぱい使ってどうやって誘うかを、イエナまで巻き込んで綿密に考えた私を比べてしまって悔しくなっちゃった。
人たらしめ。
恨めしさと喜びで口が変な形に歪む。それを少しでも隠すべく私は教卓の方を向いた。
『そうだね、私も誘おうと思ってたの。
どこに行こうか。』
強がって余裕そうに見せてみた。
246人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:でんでんい | 作成日時:2024年1月21日 2時