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好き
僕は頭の中で何度も、その言葉だけを繰り返した
人生で、初めて掴んだ感覚
安らぎと同時に稲妻のような刺激を毎日僕に与えてくれる
Aちゃんからしたら僕は隣席の人間。それ以上でもそれ以下でもない。連絡先交換もしてないけど、居たら話す。
それでもAちゃんがそれで満足ならいいと思っていた。
でも今は違う
四六時中声が聞きたい、笑った顔も泣いている顔も見たい
もっと、あわよくば全て、Aちゃんのことが知りたい
そんな僕の知らないAちゃんが増えていく過程を、一番傍で見ていたい。
そしていつか、僕しか知らないAちゃんの一面が見たい。
__ああ、僕はただの
SM「好き」
内奥に抱えていた心情はあまりにも大きく、遂には口からも零れた。
IN「気づいた?」
SM「まだ、なんか実感湧かないけど。」
僕は照れくさくて俯いた。
IN「僕もそれらしい恋愛経験はあんまり多くないから分からないし、ろくなアドバイスも出来ないけど、ヒョンがやりたいようにやればいいと思いますよ。
きっとAヌナは、ちょっとやそっとの出来事じゃヒョンのこと嫌いになんてなりませんから。」
はっとして顔を上げると、押せるだけ押しときましょ、と言ってイエナは目を細めて笑った。
日の沈みかけた空は眩しい茜色で、まるで僕の心の内みたいだ。
SM「……スッキリした」
IN「なら良かったです。ダンディーボーイに悩み顔は似合いませんよ」
SM「悩んだ顔すら素敵の間違い」
公園を出た僕達は、大きな荷物を運び終えた子供のように軽やかな足取りで帰路に着いた。
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作者名:でんでんい | 作成日時:2024年1月21日 2時