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《I.N side》
元来人と関わるのが少しだけ苦手な僕にとって、進学はあまり気の進むものじゃない。スタートダッシュに出遅れてしまえば最後、教室に僕の居場所は無くなる。
しかしいざ行ってみたらそんなことはなくて、優しく僕を受け入れてくれる。
その優しさが余計に痛い。
IN「なんだかなあ」
今日はいつも弁当を食べる踊り場に人が溜まっていて、僕は逃げるように教材準備室に駆け込んだ。
ひとつため息をついてご飯を食べようとした時、扉が開いた。
僕は驚いて
IN「ほ」
なんてあまりにも情けない声を出してしまった。
肩につかないくらいで綺麗に切りそろえられた黒髪。
赤色ネクタイを着けているしスンミニヒョンと同い年の2年生なんだろう。
ドアを開けた張本人の女性は、焦っているのか目を泳がせて
『すみませんでした』
と扉を閉めて足早に去ろうとしていた。
IN「えっ」
またしても口から漏れる情けない声。
僕は分からないけど、もしかしたらいつもここで食べてる人なのかも。だとしたら申し訳ない。
後先なんて考えずに僕は扉の方に駆けて行った。
そして閉まったばかりの扉を開けて
IN「ご飯、一緒に食べましょうよ。」
お昼ご飯のお誘いをした。
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作者名:でんでんい | 作成日時:2024年1月21日 2時