いちから、じゅうまで (ページ14)

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《Seungmin side》

Aちゃんは自信なさげに絵を見せてきた。

なにこれ、こないだ百貨店で見た日本の梅干しみたい。

そう言おうとする口は急いで噤んだが、率直な疑問ばかりで僕は思わず首を傾げた。

Aちゃんは僕が首を傾げたのに怒れたのかこちらを睨んでいるが、リノヒョンの眼圧に比べたら屁でもない。

僕は嘘をつくのは良くないと感じ、悩んだ末に絵は描かず、梅干し？(韓:매실장아찌)と書いてAちゃんに見せた。

『………何それ？？？』

Aちゃんの小さな口から漏れた大きな声が、授業中の教室にこだまする。

どうやら彼女は問題の是非以前に、梅干しの存在を知らなかったようだ。

授業中だからと筆談を望んだのはAちゃんだったのに、自らそれを破綻させるとは。
幸いほかのクラスメイトは睡魔に敗北していたりで全く関心を示していなかったが、彼女自身があまりの声量に驚き、羞恥心に堪えられなかったようで机に顔を伏せていた。
ほんとに面白い。

SM「Aちゃん顔上げてよ、まだ続いてるよ？」

『うるさい…………』

僕はこちらに顔を戻してくれないAちゃんを横目に、今はまだ予測不可能な彼女の言動に対して、全てを知りたいという大きな欲が腹の底で渦巻いていた。