まどろみの空隙２（ Yuri.C ）

まどろみ（49） ページ4

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侑李「 A、」




スプーンから零れるように細く、侑李くんが私の名前を呼んだ。





侑李「 せめて僕には、もっと甘えてよ ······ 」




黒く艶のある瞳がふるふると揺れる。

··· 初めて聞いた絞り出すような声を、小さく震わすから、胸が苦しくなった。





侑李「 僕は迷惑だなんて思ってないからね 」



私が眉を下げたのを見てか、侑李くんは私の思っていたことを口にする。


だって、侑李くんに ······ そんな顔させたくないもん。





A「 ······ 侑李くん、」



侑李「 僕は、Aが一人で抱え込んで、元気無い方が ··· よっぽど嫌だし、調子狂う 」




意思の通ったその言葉に、私の胸はきゅうっと締め付けられて

みるみるうちに、じわじわと侑李くんの顔が滲んでゆく。





侑李「 ··· ふふ、泣き虫 」



ぽす、と頭に手が置かれる。ぐすんと鼻を啜った私を、侑李くんはまろやかに笑った。





侑李「 分かったなら、何でも話すこと。··· できるよね？」



A「 ······ うん、」



侑李「 ん、··· いい子、」




頭に乗せていた手をそっと下ろして、不器用に私の髪に触れた侑李くん。



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次の瞬間、少し前のめりになった侑李くんは私の背中に片手を回し、


そのまま自らに抱き寄せたのだ。




A「 へ？え、···？」




私はそのまま、ぽすんと侑李くんの肩のあたりに顔を埋める。



状況が理解できない私の鼻をくすぐるのは、ほんのり甘い、優しい侑李くんの匂いで ······





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