まどろみの空隙２（ Yuri.C ）

まどろみ（56）Y ページ11

.





.





「 Aに、もう関わらないでください 」




僕の言葉を聞くなり、アイツの顔は明らかに引きつった。




大貴「 ······ はぁ？なんでお前に、」



耳の後ろ辺りをガシガシと荒くかいて、下から僕を睨み付ける。




僕は深く息を吸った。





侑李「 ······ Aは、君みたいな人に遊ばれていいような子じゃないから 」





一瞬の沈黙。彼は驚いたように丸っこい瞳を更に丸くさせたけど、次の瞬間には再び鋭い目付きで僕を見る。





大貴「 ······ お前に関係なくね？」



侑李「 ··· あるよ 」



大貴「 たかが同じ所に住んでるってだけだろ？それで俺らの関係に、」




つらつらと述べられる文句に嫌気がさして、
彼の言葉を遮った




侑李「 僕は、」


侑李「 好きな子の辛い顔を見たくないんだ 」





ぴくりと頬が小さく動き、

睨み付けていた黒目がちな瞳からは熱が消える。





侑李「 ······ もうAを苦しめないで 」


大貴「 ······ 」




力が抜けたように塀にもたれ掛かった「 だいき 」は、唇をぐにゃりと歪ませた。



······ Aの今までの彼への態度を見ていれば分かるよ。根は悪い人じゃないって。

Aを苦しめてたこと、自分でも分かっていたんでしょ？




.




大貴「 ········· 分かった、終わりにする。··· 最後に、頼みがあるんだけど 」


侑李「 ··· なに？」


大貴「 ありがとう、あと、ごめんって、······ Aに言って欲しい 」


侑李「 ······ 分かった 」




しゅん、と鼻を啜ってヘタクソな笑顔を見せた、だいきの目はふるふると滲んでいた。



.



侑李「 ··· じゃあ、」


大貴「 ん ······ ありがとな、」




最後に片手を差し伸べてきて

··· とても彼らしいと思いながら、それに自分の手を重ねた。






.

まどろみ（57）→←まどろみ（55）

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す