検索窓
今日:12 hit、昨日:0 hit、合計:85,557 hit

まどろみ(30) ページ30

.





侑李「 ······ ごめん 」


消え入りそうな声でそう言って、私の頬からそっと手を離した侑李くん。


間接照明の柔らかな光に包まれた空間で、侑李くんの黒く艶やかな瞳がゆらゆらと揺れる。



.



侑李「 風邪引くってば ··· 」


いつの間にか意識を手放していた私の耳に、シーツの擦れる音と、薄手の布団を肩まで掛けられる感覚。



A「 ん ······ ごめ、」


侑李「 ··· いいよ、寝なよ 」



薄く目を開けて身を起こしかけた私を制するように、頭に手を置いてそっと抑えられた。




侑李「 おやすみ 」


A「 おやすみ ··· 」




薄れる視界の中で、侑李くんの柔らかい表情が見える。


なんかふわふわして、幸せな気持ちだ ···



.



.



枕元にある携帯のバイブ音で夢から醒めた。


向かいには私に背を向けて、私と同じ布団を腰まで掛けた侑李くんの姿。


寝顔が見たくて、つい、出来心で首を伸ばし顔を覗き込んだ。



A「 ···!」



か、可愛い ··· 、、!



すうすうと聞こえる小さな寝息と、規則正しく上下する胸のあたり。

目尻に向かって長くなるまつ毛、形のいい唇に、思わず見とれてしまった ···



.



はっと我に返ったのは、もう一度携帯がバイブ音を立てたから。


シーツの上にあるまま携帯を表に返すと、



「 大貴:おはよ!起きてる?」

「 大貴:今日サボろ、俺んち来て 」



···


揺らさないようにベットから降り、布団を侑李くんの肩まで掛け、寝顔をもう一度こっそり覗いてから。私はドアノブに手を掛けた ···





.

まどろみ(31)→←まどろみ(29)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (129 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
455人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:めい | 作成日時:2018年7月15日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。