海と女と恋心と ページ1
ー？ sideー
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あぁ、今日もいらした。
名も知らぬ貴方様。
七日に一度か二度、この海にやってくる貴方様。
魚を釣りに来ているのですね。
今日はどのくらいいるのかしら。
遠くから眺めているだけでも分かる。
その溢れんばかりの力。才能。
いつも静かに、その深き眼で
海を見つめる貴方様。
あぁ、潮風にふわりとなびくその柔らかそうな
髪の毛すら愛おしい…
竿を握るその手の凛々しきこと。
その手に触れたい。
でも叶わない…
．
．
．
あれは何年前のことかしら。
以前から彼はこの海に釣りをしに来ていたわ。
でも初めのうちはなんとも思ってなかった。
あの日だってそう。
陽射しの強く、暑い風が吹いていました。
私は暇だったから彼をただ眺めていたのです。
そうしたら、急に海から妖が彼に襲いかかった。
何の種族だったかしら。
でも私はその時、心底心配したから
この辺りでは名を馳せていた妖だったのでしょう。
妖の牙が彼に向く。
私は咄嗟に手で目を覆いました。
指の隙間から
青い空に、紅い血が舞ったのが見えました。
．
．
『ウォォオオオオ……』
なんと、悶え苦しんでいたのは
彼ではありませんでした。
彼は鎌を軽く振り、ついていた血を払いました。
そして彼は、
汗を…
腕で、舌で…
．
．
あぁ、私はあの時。
あの美しく、強く、艶めかしいお姿に
恋したのです。
思いを伝えようとは思っていません。
ただ貴方様の幸せを祈るだけで
お姿をこうして見るだけで…
そう、本当に思っておりましたのに
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maki(プロフ) - とても面白くて、早く続きが見たいです！ (2019年3月12日 20時) (
レス) id: 37744a2c10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じぇりー | 作成日時：2018年2月12日 16時
