初めて私が× × ×した日 ページ22
初めて。
初めて私が屋敷の外へ出た日。
自らの足で立つこと呑みならず、街並みや道の端々にすら感動しながら何処までも歩いた。
そんな、素晴らしき感動の中。
____その人物は道端に生えた草を引き抜き、その根を食していた。
初めて見た屋敷の外の人間。自分と同じくらいの年齢、容姿の人間。
屋敷の中では見たこともない銀髪と、輝く金色の瞳。
…………人間、か?
思わず、足を止め、目の前の人物を暫し眺める。
当の本人はお構い無しで、その草の根をもぐもぐと食し、捨てては新たな草を探し始めた。
「……お前は、 『ん?お前も食う?』__食わん」
口を開けば、その人物も言葉を重ねてくる。
「お前は何をしている?…何故草を食す」
再び声をかけるが、その人物は反応を示さない。
私は段々と苛立ち始めた。
「おい、お前に…」
その瞬間、私は言葉を止めざるを得なかった。
鋭く、仄暗い、冷たい___
この時の私には何か分からなかった、寒気__所謂、殺気というものが身を襲った。
『あ、俺に聞いてた?
俺さ、名前黒夜っつーんだけど 』
その気を向けてきながら、器用に空を飛ぶ蛍を掴み___口の中に放り投げる。
『うえ、外れだ。不味い…ペッぺッ 』
その人物__黒夜は嘔吐きながらくるくると回り始める。
そして、ピタリと動きを止めると漸くこちらを見据えた。
『お前、いいよなぁ』
そう言いながら、光の無い目でこちらの目をのぞき込む。
『しっかり栄養の行き届いた髪。体つきは…ほっそいな。病か?
でも栄養のいいもの食ってるから髪の毛も肌も綺麗だな。
それにその着物もそこらの市じゃ売っちゃいない。
何もかもに恵まれてる』
黒夜は、私の着物を掴んだ。
『習わなかったか? お坊ちゃん。
夜に1人で外出て歩くなってな。
さもないと、』
彼はゆっくりと口を開いた。
月明かりに照らされ、覗く犬歯。
『悪い鬼に__取って食われちまうかもしれねぇぞ? 』
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皐月蒼&夜(プロフ) - 妖狐の見習いさん» コメントありがとうございます!こちらこそ矛盾した書き方となってしまい申し訳ありません…!リクエストお受けしました。 (2020年5月16日 10時) (レス) id: 1190da7c8b (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の見習い - ぁぁぁぁぁぁぁぁ…すみません。リクエスト受け付けてませんでしたね…ご都合血鬼術で、お願いします (2020年5月16日 0時) (レス) id: c03bca7657 (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の見習い - 初コメ失礼します^ ^すっごく面白いですしのぶさん、推しなので…リクエスト、出来たら、あ、出来たらでいいのですが、天然な夢主が、心の中が、読めるようになったら、パニくるんじゃ無いでしょうか?最新楽しみにしてます頑張って下さいね^ ^ (2020年5月16日 0時) (レス) id: c03bca7657 (このIDを非表示/違反報告)
皐月蒼&夜(プロフ) - 疾風-はやてさん» あああありがとうございます!そう言って頂けるととても励みになります…!ちょっと天然(?)な2人組ですが……面白く書けるよう頑張ります! (2020年5月1日 17時) (レス) id: 1190da7c8b (このIDを非表示/違反報告)
疾風-はやて - 面白いです!義勇さんとの合同任務楽しみですねー!更新頑張ってください! (2020年5月1日 16時) (レス) id: a73b9ea5c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜月 | 作成日時:2020年4月24日 23時