兄さんは日柱 【鬼滅の刃】

46 ページ44

Aは、呼ばれた通り鬼舞辻の元へ向かっていた。

道中様々な寄り道をしながら。

鬼舞辻からの支配を戻し、やや年齢を幼めに擬態する。今のAは10歳程の体格になっていた。

記憶を辿り路地に入れば、鬼舞辻はそこに居た。



＿＿傍に3人分くらいの肉塊を添えて。


『…むざん』

Aの声に鬼舞辻は振り向く。

「＿＿それは？ 」

手に持っている物に視線を向けられる。

『もらった。

名前は…えーっと……あめ』

艶々と光沢する丸い飴＿＿りんご飴を掲げる。

『ちょっとあまい。でもすごくかたい』

「そうか」

鬼舞辻は返事をする。Aは鬼になっても味覚に変化は無さそうだ＿と脳内に記憶した。

「…もうひとつの簪は？ それも誰かにもらったのか？ 」

左手には簪が握りしめられていた。

『もらった。 おじさん』

青い花の飾りが着いた簪。どう見ても女性物だ。

『かみのけ、のばせばつけられる？ 』

鬼舞辻は頷く。にへ、と笑うAを撫で、抱き上げた。

「帰ろうか」

鳴女に指示を送る。

今日はいい収穫があった。気になっていた花札の耳飾りをつけた少年。直に情報が入るだろう。

Aが手に持っている簪を見る。

＿＿青い花＿彼岸花。

ギリ、と歯軋りをする。

何時になれば見つかる？何処にある？

太陽を克服し、完全な鬼にならなければならない。

そのためにも＿＿

チラとAの顔を見た。

まず、Aも自分と同じくらいの鬼にする。そして鬼殺隊を滅ぼせば＿

(…私の夢に1歩近付く。まずはAからだ。焦らす、丁寧に事を進めなければ)

静かに決意しながら、無惨は無限城へと姿を消した。






ーーーーー
人に擬態してる時の無惨、小さな女の子がいましたよね。
Aが10歳くらいに擬態してるのを見て無意識に子供扱いしそうだな〜と思ってちょっと笑顔になりました

47→←45

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す