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鳴女の有難い協力により、Aは夜の浅草へ降り立った。
『わぁ…』
街を蠢く人、人、人。
煌びやかな照明や風になびく旗。
どこを見ても情報量が多い。
『………つかれる』
ムスッとしたAの脳内に声が響く。
「(どうした。何かあったか?)」
『……! むざん…
(…どうまにおいかけまわされた、あとでしばいて
あと、むざんのこときになってきた)』
「(ならば後ほど合流しよう)」
その言葉にAは首を傾げる。
『(おれひとりであるける。めんどうかけない。へいき)』
そう伝え、さっさと支配を外してしまえば、鬼舞辻の声は届かなくなった。
『………、…………さて、久々に動きますかね』
首をコキ、と動かしつつAは呟いた。
しかし直ぐに動いてはいつ鬼舞辻と遭遇するか分からない。
その場で目を瞑り、静かに呼吸する。
『支障はなさそうですね』
後は気になる気配が2つ。
『観光がてら探ってみますか!』
そう言ってAは外へ足を踏み出した。
ーーーーーー
しばらく街を歩き、路地を抜けて閑散とした広場に出る。
広場には屋台が止まっていて、その前のベンチに人影が見えた。
『………! 』
その、人影の正体は。
『禰豆子…』
竹を口に当てられた禰豆子が眠っていた。
その目の前には何故か割れた丼とうどんが散っている。
『店主、ここにどんぶりが落ちてますけど…』
そう声をかけると店主は屋台から顔を覗かせる。
その後、店主の怒りが爆発し何も関係ないAは見事に巻き込まれる羽目となった。
『ではお代をお支払いしますので…その方が戻ってこられましたら新しくもう一杯用意してあげてください。
こっちのお金は弁償代です』
店主は何度も断ったが、丁重に謝罪し金銭を押し付けたAは更に路地裏の方へと進んで行った。
その途中、ある女性とすれ違う。
ふわりと匂いが鼻を掠めた時、Aはその手を掴んでいた。
その女性は驚いた顔をして振り返る。
『突然失礼いたします、ご婦人』
Aはゆっくり顔を上げる。
女性の顔が強ばる。
『少しお話致しませんか……あちらの人目につかない所で』
Aは鋭い牙が露わになった笑顔を向けた。
女性が逃げる為振り払おうとする手に力を込める。
『___お互いのためにも』
怯えた瞳でこちらを見つめてくる。
真剣な顔で、念押しするように呟く。
『あの男を倒すために』
女性の目が見開かれた。
「あなたは……」
Aは笑顔を向けた。
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いおり(プロフ) - とってもドキドキして、続きが気になりまくりです……!!更新楽しみにしてます! (2022年12月12日 19時) (レス) @page30 id: c0ee6ff83c (このIDを非表示/違反報告)
シエルくん。 - めちゃ面白かった!! (2022年11月28日 19時) (レス) @page30 id: 82384aca28 (このIDを非表示/違反報告)
ドングリ - 続きが気になるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ(ΦωΦ) (2021年7月10日 15時) (レス) id: 0adc01732d (このIDを非表示/違反報告)
猫の恩返し(プロフ) - ほう、、、覚悟はいいですか?(黒笑) (2021年5月23日 0時) (レス) id: 3ce4a98013 (このIDを非表示/違反報告)
皐月蒼&夜/夜月(プロフ) - らんかさん» コメントありがとうございます!!本日更新させて頂きましたので、是非お楽しみください〜! (2021年2月9日 11時) (レス) id: 1190da7c8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜月 | 作成日時:2021年1月3日 0時