42 ページ40
その後。
Aは煉獄を背負い森を抜けていた。
(せめて人里か__間に合うなら藤の家までは)
夜が明けるまで後半刻程だろうか。
そもそも支配を外してしまった今の自分では無限城への戻り方すら分からないため、太陽が出ても問題ない煉獄よりも自分自身を優先すべきなのだが。
『あんな日が当たらない場所に放置して鬼が来ても困りますし。
……ん? 』
気配。意図して隠されているが、僅かに漏れている。
『…柱が負傷したともなれば、駆けつけるのは』
「よォ、そいつをどうするつもりだ」
『……柱、ですよね。そりゃそうだ』
目の前に現れたのは__
『実弥だ。いやー久しいなぁ』
「……Aか?」
『正解です。……けど、時間がありませんので。
杏寿郎のこと引き取って貰えます? 』
Aが近付こうとすると、不死川は1歩下がり刀に手を当てる。
「本当か。おめぇが鬼になったってのは」
嘗てとは違い敵意を向けられ、少し寂しさを感じつつAは笑顔を絶やさない。
『如何にも。人の味は知りませんが…』
「関係ねぇな、あの隊士殺ったのもお前だろ」
空気がピリつく。
今にも斬りかかって来そうである。
『ねえ、実弥。落ち着いてください。
俺を斬りたいのは分かる。分かりますよ。
だけど今刀を振れば杏寿郎に当たる。それだけは』
空が白み始める。
『俺の計画は部分的にですが杏寿郎に伝えてあります。
それを杏寿郎は承諾した。だから今俺は生きているんです』
煉獄を下ろし横抱きにする。
努めて冷静に、優しく。
『……実弥』
ゆっくり近付く。時間が無い。
不死川は顔を顰めた。悩んで悩んで、ようやく渋々と腕を出してくる。
『ありがとう。杏寿郎を頼みます』
そうして煉獄を渡し腕を引いた__その瞬間に明るくなった。
日が、木々の合間を照らす。
『___ッ! 』
全身が粟立つ。ここにいては駄目だ。
本能が理性を弾き飛ばし一刻も早く無限城に戻ることを考え始める。
(声が聞こえる。無限城。誰だ?……実弥?早く戻らないと。杏寿郎、実弥、無惨。無限城へ。太陽、鬼、鳴女__無惨)
『むざん…』
走って走って、夜に無限城から移された御堂まで駆け込む。
それと同時、琵琶の音がして視界が暗転した。
ーーーーーー
遊郭編やってましたね!
皆さん見ましたか??
452人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いおり(プロフ) - とってもドキドキして、続きが気になりまくりです……!!更新楽しみにしてます! (2022年12月12日 19時) (レス) @page30 id: c0ee6ff83c (このIDを非表示/違反報告)
シエルくん。 - めちゃ面白かった!! (2022年11月28日 19時) (レス) @page30 id: 82384aca28 (このIDを非表示/違反報告)
ドングリ - 続きが気になるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ(ΦωΦ) (2021年7月10日 15時) (レス) id: 0adc01732d (このIDを非表示/違反報告)
猫の恩返し(プロフ) - ほう、、、覚悟はいいですか?(黒笑) (2021年5月23日 0時) (レス) id: 3ce4a98013 (このIDを非表示/違反報告)
皐月蒼&夜/夜月(プロフ) - らんかさん» コメントありがとうございます!!本日更新させて頂きましたので、是非お楽しみください〜! (2021年2月9日 11時) (レス) id: 1190da7c8b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夜月 | 作成日時:2021年1月3日 0時