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『……鬼狩り。』
雲に隠れていた月が姿を出す。
月光に照らされる。
炎のような、派手な髪と大きな目。
同じように、炎の燃え上がりそうな羽織。
息が詰まる。脳が警鐘を鳴らす。
身構えたその瞬間、目の前にグンと近付いた顔と首に迫る刀が見えた。
『___ッ! 』
すんでのところでかわすが、掠めた首から微かに血が舞う。
__どうよう、けいかい。
『…いたい』
「そうか!首を切るつもりだったが動きがいいな!上弦か!」
『つぎはあたらない』
落ち着いて刀を構えようとして__視界が大きく歪んだ。
『……?』
体勢を整えようにも力が入らない。
何か、何かある。
身体の奥底から__
『……嫌だ。 』
地に手を着き、無理矢理体勢を整えた。
震える身体を引きずるように走る。
逃亡。
「__!? 待て! 」
後ろから追いかけてくる。
嫌、嫌だ。にんげん。おにがり。
人里から森を抜け走り続ける。
なにがいやかわからない。でもいやなのだ。
咄嗟に振り返り刀を振る。
刀同士がぶつかり鋭い音が響く。
ふと、木の暗闇が消え、再び顔が見える。
強い意志を持った瞳と目が合う。
その奥に見えた、おれは。
『__ぁ』
ぐらりと身体が傾く。
それと同時に、目の前の瞳も大きく見開かれて。
『……ぇ?』
気付けば、地面は終わっていてその下に崖が広がっていた。
こちらに何かを叫びながら手を伸ばしていた人間も、そのまま身を乗り出していて。
咄嗟に手を伸ばした。
掴み、強く引き寄せる。
『__ッ! 』
浮遊感の後、全身に強い衝撃を受け、そのまま意識を失った。
ーーーーーー
守られた。
意識を取り戻した人間__煉獄杏寿郎は、身体に異常がないか確認しつつそう考えた。
上を見上げればかなり高く、自分1人で落ちていたら助かったか分からない。
それに山の下側ではなく谷へ落ちたらしい。
戻るには登らなければいかないが__
「! それよりも鬼は…」
見渡せば、すぐ側に。
「………! 」
煉獄を庇うようにして落ちた、その最後に投げられたのは覚えているが。
地面から棘のように鋭い枯れ木が生えていた。
運悪くそこに落ちたのか、腹から大量の血が流れていた。
ろくに受け身も取れなかったのだろう、頭からも流血している。
そこで煉獄は疑問を覚える。
何故だ。何故回復しない。
鬼なら傷は直ぐに塞がるはずだ。
考えていると、鬼が目を覚ます。
『……? 』
煉獄は警戒し刀を構える。
『……きょうじゅろう』
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いおり(プロフ) - とってもドキドキして、続きが気になりまくりです……!!更新楽しみにしてます! (2022年12月12日 19時) (レス) @page30 id: c0ee6ff83c (このIDを非表示/違反報告)
シエルくん。 - めちゃ面白かった!! (2022年11月28日 19時) (レス) @page30 id: 82384aca28 (このIDを非表示/違反報告)
ドングリ - 続きが気になるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ(ΦωΦ) (2021年7月10日 15時) (レス) id: 0adc01732d (このIDを非表示/違反報告)
猫の恩返し(プロフ) - ほう、、、覚悟はいいですか?(黒笑) (2021年5月23日 0時) (レス) id: 3ce4a98013 (このIDを非表示/違反報告)
皐月蒼&夜/夜月(プロフ) - らんかさん» コメントありがとうございます!!本日更新させて頂きましたので、是非お楽しみください〜! (2021年2月9日 11時) (レス) id: 1190da7c8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜月 | 作成日時:2021年1月3日 0時