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ぬるま湯に揺蕩うような感覚から、意識が浮上する。
うっすらと目を開けば、嗅ぎなれた匂いだった。
しかし、身体は強く拘束されていた。
『……………』
目覚めは悪い方だ。
そのまま時間を過ごしていると、脳が覚醒し始めた。
『……そうか、鬼に……今は…』
呆れたような笑いが出る。
義勇に助けられた後の記憶が朧気だが、ここに来てからの記憶は一切ない。
しかし腕に着いた細かな傷は＿＿恐らく暴れたのだろう。
今は人間としての記憶、意識が鮮明になっている。
胡蝶的にも苦渋の決断による拘束だったのか。所々甘いところがある。
音を出さないよう気を払いながら、しばらくすれば自由の身となった。
静かに伸びをし、欠伸をひとつ。
『………杏寿郎』
足元で眠るその姿に、僅かに笑みがこぼれる。
『もう二度と、会えないものと……』
腰を下ろし、身を寄せる。
傷のある肩に触れた。
先程までの記憶は無いが、飢えを満たしたその味はよく覚えている。
起こさないよう身体を起こし、抱きつくように被さる。
そのまま首元に触れる。指先で喉仏から裏へ＿＿項に触れた。
そうして大きく口を開き＿＿＿
｢………ｯ｣
呻き声、荒い呼吸に、すんでのところで当たりそうな牙を止めた。
見れば、顔は苦しそうに歪んでいる。
『……冗談ですよ、冗談。魘されているんですか？ 』
ぐりぐり、と頭を胸に擦りつける。いつもなら杏寿郎の温かく大きな手が頭を撫でてくれていた。
二度と会えないくらいなら、彼も鬼にして何処かへ逃げてしまおうか。なんて、考えなかった訳では無いが。
『……君には太陽が、陽の当たる世界がよく似合う。 』
優しく丁寧に寝かせ直し、頭を撫でようとして＿＿やめた。
『だからね、杏寿郎』
＿＿
『いつか、俺の首を斬りに来てください。
………それまで、どうか。死なないで 』
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いおり(プロフ) - とってもドキドキして、続きが気になりまくりです……！！更新楽しみにしてます！ (2022年12月12日 19時) (
レス) @page30 id: c0ee6ff83c (このIDを非表示/違反報告)
シエルくん。 - めちゃ面白かった！！ (2022年11月28日 19時) (レス) @page30 id: 82384aca28 (このIDを非表示/違反報告)
ドングリ - 続きが気になるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ(ΦωΦ) (2021年7月10日 15時) (レス) id: 0adc01732d (このIDを非表示/違反報告)
猫の恩返し(プロフ) - ほう、、、覚悟はいいですか？(黒笑) (2021年5月23日 0時) (レス) id: 3ce4a98013 (このIDを非表示/違反報告)
皐月蒼＆夜/夜月(プロフ) - らんかさん» コメントありがとうございます！！本日更新させて頂きましたので、是非お楽しみください〜！ (2021年2月9日 11時) (レス) id: 1190da7c8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜月 | 作成日時：2021年1月3日 0時
