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「もう少しだ。頑張れ! 」

「ありがとうございます…炎柱様…! 」

任務により負傷した一般隊士を支えながら、煉獄は蝶屋敷へ向かっていた。

ようやく辿り着き、戸を開ける。そこに冨岡義勇が立っていた。

「む。冨岡か! 久し__」

煉獄の目は冨岡の手、詳しくはその手に持たれた羽織りに向いた。

血に塗れぼろぼろになった橙色の羽織り。しかしそれは本来の持ち主を離れ、冨岡の手にある。

冷たい汗が背を伝う。いつの間にか酷く乾いた喉から声を絞り出す。

「…その、羽織は、」

「煉獄さん!? 」

声のする方に目を向ける。驚きと焦りの混じった表情の胡蝶と目が合った。

冨岡の手にあった羽織を掴み、気付いた時には胡蝶の元へ__出てきたその部屋へと向かっていた。

胡蝶の制止を気にも止めず駆け込んだ煉獄は目を見開く。




以前会った時とはかけ離れた、想像もつかない姿。

大きく開かれた目に鋭い牙の生えた口。

唸り声を上げ、暴れるAの瞳に煉獄は映っていない。

彼を繋ぎ止めている鎖が派手な音を立てた。

「……A」

いつもの煉獄からは想像もつかないような悲痛な声に胡蝶は目を伏せる。

「話によると、鬼舞辻無惨と遭遇したらしく_」

「そこへ俺がお館様の命により向かった。俺が見つけた時はまだ人としての意識を保っていたが…」

煉獄たちを睨みつけ、敵意を剥き出しにしながら暴れるAに、煉獄はそっと近付く。

「煉獄さん!近付いては_」

さらに強く敵意と殺意を出したAが煉獄を噛み砕かんと大きく口を開いて牙を見せ__その体は優しく包まれた。

「A……辛かっただろう。苦しかったはずだ……よく頑張ったな」

『__! 』

震える声でそう呼びかけると、Aが動きを止める。煉獄は強く抱き締めた。

いつもより一層冷たくなった体。どれほど呼吸を使い体を酷使したのか。

胡蝶からAの症状を聞いていた煉獄には痛いほどに伝わってくる。

『きょう…じゅろう……』

腕の中で強ばっていた体からふっと力が抜ける。見ればAは意識を手放していた。

「………何故、何故Aがこのような目に……Aが何をしたというんだ…! 」

気付けば思いが口に出ていた。振り向き胡蝶を見る。

「鬼を…Aを、元に……人間に戻すには、」

胡蝶は横に首を振る。

「無理です…煉獄さん。

このことはお館様へ伝えてあります。……鬼となった…その処遇は、柱合会議にて」

「死なせるものか!!! 」

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設定タグ:鬼滅の刃 , 竈門炭治郎 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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いおり(プロフ) - とってもドキドキして、続きが気になりまくりです……!!更新楽しみにしてます! (2022年12月12日 19時) (レス) @page30 id: c0ee6ff83c (このIDを非表示/違反報告)
シエルくん。 - めちゃ面白かった!! (2022年11月28日 19時) (レス) @page30 id: 82384aca28 (このIDを非表示/違反報告)
ドングリ - 続きが気になるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ(ΦωΦ) (2021年7月10日 15時) (レス) id: 0adc01732d (このIDを非表示/違反報告)
猫の恩返し(プロフ) - ほう、、、覚悟はいいですか?(黒笑) (2021年5月23日 0時) (レス) id: 3ce4a98013 (このIDを非表示/違反報告)
皐月蒼&夜/夜月(プロフ) - らんかさん» コメントありがとうございます!!本日更新させて頂きましたので、是非お楽しみください〜! (2021年2月9日 11時) (レス) id: 1190da7c8b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夜月 | 作成日時:2021年1月3日 0時

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