兄さんは日柱 【鬼滅の刃】

29 ページ27

鬼舞辻からすれば、その行為は激しい痛みによる錯乱状態であり、自傷行為として映る。

しかし、Aの傷口から上がる煙＿＿＿自分の細胞の制御が効かなくなり、直ぐに気付いた。




Aは確信していた。

鬼に対して日輪刀が有効なら、血鬼術に対しても同じである、と。

＿＿＿＿まだだ。まだ終われない。今死ぬ訳にはいかない。

痛みが和らぎ、状況を捉え素早く起き上がって距離をとった。

深呼吸し身体を落ち着かせるが、状況はかなり深刻である。

限界状態のまま突き刺した日輪刀のブレは大きく、止血するにも厄介だ。





＿＿＿あと10合……否、20合は保たせなくては。

気の遠くなりそうな現実、とっくに限界は超えている。




助けは来ない。

しかし、少なくとも、今何処かへと襲撃に向かうことは抑えなくてはならない。



不意に膝の力が抜け、崩れ落ちかける。

そこを見逃さず、鬼舞辻が触手を放った。

＿＿＿といった、ブラフ(、、、)である。

地面を蹴り、日輪刀を構えた。

『日の呼吸、円舞』

もう一度。もう一度で構わない。あの舞を完成させろ。

踏み込み、日輪刀を振る。

肉を切る感覚。返り血を避ける。

避けきれなかった触手が身体を抉る。

『日の呼吸＿＿炎舞！！ 』

最後まで繋がった舞に＿＿身体が限界を迎える。

＿＿＿まだだ。戦え！

足に力を込め、日輪刀を振りかざす。

『日の呼吸、飛輪陽炎！ 』

鬼舞辻の触手を根元から抉りとるように切る。

日輪刀の血を払い、傷口に当てる。

血鬼術を無効化させ、止血。

次は＿＿、思考を遮るかのようにピシッと高い音が響いた。

『＿＿＿＿！ 』

手のひらが凍りつき＿＿表面が氷で覆われていた。

Aは目を見開く。

しかし、気付いた時には遅かった。

足の指から膝の関節までもが既に凍りついている。

＿＿＿＿動けない。

『これは…………万事休す、ですかね……』

小さくため息をついた。

もう握れなくなった日輪刀を取り落とし、ゆっくりを目を瞑る。

そこへ、鬼舞辻の触手が叩き付けられて血飛沫が舞った。

刹那、Aはある光景を思い出す。

ーーーーー




作者からちょっとした小話。

1合は刀が1度打ち合わさった、という意味です。
10合なら10回刀同士がぶつかるという意味ですかね。

鬼舞辻は刀持ってませんけど。



1合とか2合とか、お米かって感じですよね笑


良ければコメントや評価を………I˙꒳˙)

30→←28

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す