兄さんは日柱 【鬼滅の刃】

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竈門Aの極度の冷え症は、ただの体質などではなかった。

Aが戦闘時、「日の呼吸をどれほど使ったか」によって進行していく＿＿そんな病だ。

日の呼吸によって日輪刀に焔を纏えば纏うほど、Aの身体は末端から芯まで冷えていく。

使わなければその分、症状は緩和していくが、当然その逆も有り得る。

Aが実家に帰省することを認められたのは、何も年末年始だからという理由だけではなく、胡蝶しのぶから御館様への進言＿＿＿症状の悪化による療養のためであった。

治療の仕方は単純。

任務で日の呼吸を使わない、ただそれだけである。

『運が良いのか悪いのか。

療養の筈が症状の悪化ですよ』

既に指先は凍りつきそうな程である。

末端から感覚がなくなり、思考すら邪魔されていた。

それに加え、雪が降り続けている。

『考えるだけ無駄ですかね。

幾ら症状が悪化しても止める気はありませんから』

透き通る世界を見つめ、鬼舞辻の弱点＿＿心臓や脳＿＿を炙り出す。

『………………そこか』

踏み込み、雪が粉塵となって舞う。

鬼舞辻の触手が何本も放たれた。

『日の呼吸、日雲の龍・頭舞い』

素早く避け、首を狙っているように見せ掛けて右の脇腹にある心臓へ日輪刀を叩き付ける。

｢ｸﾞｯ……!!｣

苦鳴と共に鬼舞辻の口から血が溢れる。

『日の呼吸、火車』

これは仰け反った鬼舞辻の表皮を割くに留まった。

『次は………日の呼吸、円舞』

肋骨の下、横隔膜をなぞるように切断。

身体の中心にあった脳を切る。

刹那＿＿＿視界が歪み、反射的に地面を蹴って距離をとる。

｢やはりお前は…鬼にすべきだ！！ ｣

身体に異変、激痛が走り視界が白く染まり、赤く染まる。

『＿＿＿＿!! 』

Aは耐えきれず雪に倒れ込んだ。

上手く息が吸えない。脳が警鐘を鳴らす。

激しい耳鳴りと視界の明滅に、敵すら捉えられない。


＿＿＿痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い＿!!!!

相手は、鬼舞辻は何処にいる。首を切らなくては。

激しい痛みに身体が痙攣を起こす。

『ガッ………ハ、………ッ………』

呼吸が詰まる。

脳の命令(本能)を無視し、無理(理性)を貫き通す。

震える手で日輪刀を掴み、先程までで負った全ての傷に日輪刀を突き刺した。

＿＿＿＿血だ。鬼舞辻の血による鬼化を止めろ。







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