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静かな山、突き刺すような寒さと雪遭難しそうなほど強い吹雪の中をAは歩いていた。
『あー…寒い。
これは鬼舞辻を見つける前に俺が凍死するのでは?』
ギュッギュッと雪を踏む音が強い風の音に交じる。
暫く歩いた後1度止まり、目を閉じて深呼吸。
そしてゆっくりと目を開く。
『はじめまして。鬼舞辻無惨』
Aはニッコリと微笑む。
我ながら完璧な微笑み。と思いながらAは日輪刀に一切触れず、微塵も殺気を出さずに相手を見た。
傲岸不遜な顔つき、黒い髪、赤い瞳__
暗闇の中だというのに、何故だかはっきりと捉えられた。
そして、その横にいるのは。
『そちらの方はお久しぶりです。__どなたでしたっけ?』
Aは首を傾げ、相手を見つめる。
「おいおい、困ったなあ。自己紹介は前にしたぜ?」
おどけた仕草の彼。虹色の瞳の中には”弐”の数字。
『そうだったかもしれませんね。
ですが、俺の目的はそちらの鬼舞辻無惨ですので貴方は別にどうでもいいです』
ピシッと空気が張り詰める。
Aが目を向けると、鬼舞辻無惨は目を見開き硬直していた。
『____は?』
小さく声が漏れる。
__先程から全く話に入ってこないと思えば…何故それ程までに驚愕している?……以前会ったことがあるのか?
ギチギチという奇怪な音が響きAは思考を止める。
それは鬼舞辻の歯軋りの音であり__怒りが匂いとなってAの鼻に届く。
疑問に思うAを他所に、鬼舞辻の脳内は混乱と激しい怒りで埋め尽くされていた。
その鬼舞辻の怒りの原因。
Aは知り得ないことではあるが、かつて鬼舞辻を死の淵にまで追い込んだ男_継国縁壱に、Aの雰囲気や佇まいが
そして、耳に着けたままの花札の耳飾り。
それ故に、目の前の男は
「(何故、あの男が生きている__?黒死牟から死んだと伝えられた…記憶から確かにその死を確認した筈だ。
___否、気配から捉えていたがこの男は気配こそ酷似しているが装いが違う。
この男は………縁壱ではない)」
思考を中断し、鬼舞辻は咄嗟に腕を掲げた。
首の前に出したその腕が裂ける。
『何か思うところがあるのかもしれませんが』
Aは振り切った刀を握り直し、距離を取って構える。
『貴方を見逃す訳にはいきません。ここで首を切り落とします』
耳飾りが僅かに揺れた。
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いおり(プロフ) - とってもドキドキして、続きが気になりまくりです……!!更新楽しみにしてます! (2022年12月12日 19時) (レス) @page30 id: c0ee6ff83c (このIDを非表示/違反報告)
シエルくん。 - めちゃ面白かった!! (2022年11月28日 19時) (レス) @page30 id: 82384aca28 (このIDを非表示/違反報告)
ドングリ - 続きが気になるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ(ΦωΦ) (2021年7月10日 15時) (レス) id: 0adc01732d (このIDを非表示/違反報告)
猫の恩返し(プロフ) - ほう、、、覚悟はいいですか?(黒笑) (2021年5月23日 0時) (レス) id: 3ce4a98013 (このIDを非表示/違反報告)
皐月蒼&夜/夜月(プロフ) - らんかさん» コメントありがとうございます!!本日更新させて頂きましたので、是非お楽しみください〜! (2021年2月9日 11時) (レス) id: 1190da7c8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜月 | 作成日時:2021年1月3日 0時