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「そう、それでみんなで帰ってきたのね」
先程までのことを言えば、母は微笑んだ。
『これ、お土産に』
そう言って野菜や肉の包みを渡すと、驚いた顔になる。
「まあ、こんなに?毎月お金も沢山送ってくるし……無理はしてないかい?」
母の心配そうな顔に、Aは笑顔で答える。
『うん。柱になったから沢山給料が貰えるんだ。
食事以外は刀の手入れとか服くらいしかお金がかかるところもないから余ってるよ。
そうだ、何か手伝うことはある?』
「そうなの。
いいのよ、座ってなさい。
家にいる間は、ゆっくり休んでね」
『でも……』
「いいから…ね?」
その言葉に、Aは頷き、居間に入った。
ーーーーー
夕方、Aは玄関に立ち炭治郎に声をかけた。
『炭治郎、ちょっとおいで』
「兄さん?そろそろご飯だよ?」
『いいから』
Aが微笑むと、炭治郎は立ち上がって着いてきた。
そのまま外に出て山を登り、山の中の開けた所に来る。
『少しの間、借りるね』
そう言ったAは炭治郎の右耳に着いた耳飾りをそっと外し、代わりに自分の付けていた水色の雫の形をした耳飾りを着ける。
炭治郎から外した耳飾りを右耳に着けた。
もう片耳は、自身の耳飾りに触れ__やめる。
隊服に羽織を着たいつも通りの格好で、Aは抜刀する。
「兄さん?何かするの?」
後ろでキョトンとしている炭治郎を振り返り、Aは微笑んだ。
『少し離れて……よく見るんだよ?』
炭治郎は頷き、少し離れた場所に立つ。
それを確認し、Aは深呼吸の後、スゥ……と息を吸った。
日輪刀が炎を纏い___その景色は、炭治郎を魅了する。
冬の澄んだ空気を切り裂く様に鋭く舞い、指先までが真っ直ぐ綺麗に伸ばされた。
「____!」
髪の毛や羽織の揺れですら舞の1部であるかのように動き、ただ鋭い呼吸音と雪を踏む音のみが響いていく。
その姿は___炭治郎がかつて見たことのある、父の姿にもよく似ていた。
しかし、Aの舞の洗練のされ方は、その父の姿を上回っているようにも感じる。
「すごい………」
声が思わず小さく漏れた。
父の姿からは気が付かなかった__Aの舞を見て、炭治郎は気付く。
Aに握られた、その刀が振り切られる時、必ずある高さを通っている。
本来、その場にいないはずの姿が見えてくる。
兄さんの所属、舞、刀。
あの舞は、ヒノカミ神楽は_____
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いおり(プロフ) - とってもドキドキして、続きが気になりまくりです……!!更新楽しみにしてます! (2022年12月12日 19時) (レス) @page30 id: c0ee6ff83c (このIDを非表示/違反報告)
シエルくん。 - めちゃ面白かった!! (2022年11月28日 19時) (レス) @page30 id: 82384aca28 (このIDを非表示/違反報告)
ドングリ - 続きが気になるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ(ΦωΦ) (2021年7月10日 15時) (レス) id: 0adc01732d (このIDを非表示/違反報告)
猫の恩返し(プロフ) - ほう、、、覚悟はいいですか?(黒笑) (2021年5月23日 0時) (レス) id: 3ce4a98013 (このIDを非表示/違反報告)
皐月蒼&夜/夜月(プロフ) - らんかさん» コメントありがとうございます!!本日更新させて頂きましたので、是非お楽しみください〜! (2021年2月9日 11時) (レス) id: 1190da7c8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜月 | 作成日時:2021年1月3日 0時