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目の前が白く霞む。
兎にも角にもこうしては居られない。
Aは小さく息をつき、覚悟を決めた。
『………ッ! 』
日輪刀を右胸に当てて素早く刺す。
重要な血管を避け、すぐさま止血出来る血管のみが傷付き、痛みがはしる。
傷口から煙が立つのを見ながら、呼吸を整えた。
『…はぁっ、…ゲホッ………』
喉元に残った血を吐き出し、肺の止血を終えてAは立ち上がる。
左側の肺は重要な血管が多い。いつ来るか分からない敵に気を向けながらでは取り返しのつかないことになる。
『とりあえず…これで日の呼吸は使える筈。
先に
常なら絶対に使わないような荒い言葉が口から出て、Aは自分が怒りに囚われていることに気付く。
『……感情に左右されてはいけない。
感情の制御ができないのは未熟者。未熟者です』
そう自分に言い聞かせ、日輪刀を持ち直す。
この山は自分が幼い時から走り回ってきた。
どのような動きがとれるのか、何処にどの様な木や岩どがあり、崖や洞窟があるのかも全て把握している。
故に、
『先ずは君からです』
木の上に腰掛ける童磨の後ろに回り込み、日輪刀をその首へ叩き付け__
___られなかった。
『クッ………!! 』
童磨の身体を何本もの触手が突き抜け、Aに襲いかかる。
近くの枝を蹴り地面に飛び降りると、待ち受けていた鬼舞辻の右腕が赤黒く変色し、巨大な生物が飛び付いてきた。
日輪刀でその身体を細かく切り刻む。
距離を取って体勢を立て直すと、するりと童磨が木から下りるのが見えた。
「童磨。邪魔をするな」
Aを一瞥した後、鬼舞辻は童磨の方に腕を伸ばす。
次の瞬間、童磨の姿が消えた。
『___! 』
琵琶の音?
山の中に注意を向けても、童磨の気配はない。
『味方を減らすとは、随分自信がおありですね』
Aの煽る様な言葉にも、鬼舞辻は動じない。
「貴様はあの男ではない。貴様は弱い」
その言葉にAの額がピキリと鳴り、青筋が浮かんだ。
『……どの男かは存じ上げませんが、俺より強い方はほぼいませんよ? 』
笑顔で絞り出した言葉にすら、鬼舞辻は興味を持たず、つまらなそうな顔をしている。
『クソが』
再び出た荒い言葉__しかし、Aは気にしなかった。
踏み込み、日輪刀を振り上げて首を狙う__
「貴様を鬼にしてやろう」
僅かにぶれた日輪刀が、触手によって弾かれ地面に突き刺さった。
『……は? 』
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いおり(プロフ) - とってもドキドキして、続きが気になりまくりです……!!更新楽しみにしてます! (2022年12月12日 19時) (レス) @page30 id: c0ee6ff83c (このIDを非表示/違反報告)
シエルくん。 - めちゃ面白かった!! (2022年11月28日 19時) (レス) @page30 id: 82384aca28 (このIDを非表示/違反報告)
ドングリ - 続きが気になるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ(ΦωΦ) (2021年7月10日 15時) (レス) id: 0adc01732d (このIDを非表示/違反報告)
猫の恩返し(プロフ) - ほう、、、覚悟はいいですか?(黒笑) (2021年5月23日 0時) (レス) id: 3ce4a98013 (このIDを非表示/違反報告)
皐月蒼&夜/夜月(プロフ) - らんかさん» コメントありがとうございます!!本日更新させて頂きましたので、是非お楽しみください〜! (2021年2月9日 11時) (レス) id: 1190da7c8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜月 | 作成日時:2021年1月3日 0時