12音目 ページ15
『ただいま戻りました〜って何してんだよお師さん』
「おう、帰ったか。お疲れさん」
『どう見てもお疲れなのはお師さんの方だよ』
玄関の前に行くと外に師範が転がっていた。
ゼーゼーと激しく呼吸をしている。
『派手に何してんだよ』
俺が訝しげな視線を向けると師範は慌てて口を開いた。
「いや……ハァーッ…屋敷の、周りを……ゲホッゲホッ…走りすぎて…ウェッ……な……」
『嘔吐くな汚ねえ。
鍛錬不足か?呼吸しっかり使ってりゃそこまでになんねえだろ。
お師さん地味だな』
その言葉に師範はウグッと呻いた。
「(いやお前が帰ってくるのが見えたから急いだんだよ、とは言えねえ……)
とりあえず水くれ……」
『持ってきてやるから待ってろ』
そう言って台所で茶碗に水を入れ頭からかけてやる。
「おまっ……!そこは飲ませるだろ!」
段々いつもの調子を取り戻してきた師範を見て俺は口を開く。
『元気になったんなら水くらい自分で取りに行けや』
師範はゆっくりと立ち上がる。
「そういえば…A」
『ん?』
俺は顔を上げる。
「今度胡蝶の屋敷行くぞ」
俺は首を傾げた。
『なんで?
俺、怪我も病気もないけど』
あっさりと出た嘘に自分でも驚く。
胡蝶しのぶの屋敷__通称蝶屋敷は本来怪我人が行くところ。
言わば鬼殺隊の病院だ。
胡蝶しのぶの他にも物好きな天才の医者がいると聞くが___
師範はあからさまに肩を跳ねさせた。
ギクリ、とでも言いたげな。
『お師さんが病気か?』
「派手に失礼だな!
ほら、お前も柱になったし挨拶とか行っとけば?って事よ」
俺は頷く。
『確かにな』
俺が納得したのを見てほっと息を着く師範を訝しみつつ、俺は師範と日程を決めた。
133人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夜月 | 作成日時:2020年5月15日 1時