夜の光〔文スト〕 (ページ12)

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朝ページ12

次の日、とは言っても仮眠を取って2時間しか経っていないが、Aは静かに目を覚ました。元々目覚めの良い方ではなく、何時もは織田作に起こしてもらっていた。
＿その織田作も、もう居ない。
A「ーッ」
急に目頭が熱くなり、Aは急いで洗面所へ行き冷水を顔にかけた。
暫くして水を止め、鏡に映った自分を見た。寝る時は包帯を解く為、何時もとは違う。
＿まず、右眼は兄とは違い、鮮やかな赤色をしている。
腕には薄っすらと異能痕がある。此れは太宰に触れて貰えば消えるのだが、その後に異能を発動すると、また現れてしまう。
そして。

＿顔の下、首には明らかに人に絞められたような手形の痣が出来ている。
Aは、無意識のうちにその痣に触れ＿

暫くするとその手を放し、キッチンへ入った。珈琲を入れ、出来上がるまでの間に昨日入った連絡がないか確認しようと思い、スマホがないことに気づく。
目を凝らすとベッドの縁に置いてあった。

Aはいきなり跳躍した。

＿リビングと寝室の境目辺りの天井に脚をつき、さらに天井を蹴る。そのままベッドの縁の所の壁に脚をつけ、手を伸ばしてスマホを取った。ベッドに落ちないよう壁を蹴り、元いた場所へ音も立てずに着地した。
＿その間、僅か2秒。

準備運動だ。
いくら幹部でも突然の任務等で体を動かすようになる事もある。その時、急に動いて怪我をしました。じゃあ話にならない。その為常に体を動かすことを意識しているのだ。

私には兄のように重力を操る力は無い。それでも兄に追いつかなくては。そう思い、首領にお願いして体術を学び始めたのだ。訓練は苛烈を極めたが、苦労の甲斐あってか、今では中也と互角には闘えるようになった。

出来上がった珈琲を飲みながらテレビを付け、ニュースを見る。
＿先日起きたビルの爆破事件の詳細、半年ほど前から続く連続殺人事件、虎の目撃情報、最近流行りのカフェのリポート、天気予報＿

最近は事件が多い。しかもニュースに上げられた２つの事件はポートマフィアによるものである。
１つはマフィアの科学者である梶井基次郎。
もう１つは泉鏡花による犯行だった筈だ。
鏡花と初めて会ったのは確か姐さんと一緒にいる時だった。姐さんの機嫌が良かった為、何かあったのか、と聞いた事がきっかけだった。鏡花は感情を余り表に出さないが好きなものを見るととても可愛い。姐さんが可愛がるのも頷ける。

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