１４ マネージャー ページ14
そんなことされたら、言われたら、従ってしまう。
恥ずかしさを必死で堪えて彼と目をじっと合わせる。
すると彼は「従順だね、やっぱＭ気質あるんじゃん？」
と可笑しそうにフッと笑う。
こいつからかったのか！と身を引こうとすれば
そのままで、と嫌に真剣な声で言われる。
どうすることも出来ないで固まっていると
「マネージャー、やるんだよね？」
と聞かれた。「やるよね？」とまた念を押されれば
この状況で断れる人は居るのだろうか。
掠れ気味な声でどうにか「ぅ、うん、、、」と紡いだ。
それを聞いてまた
フッと彼は笑った。
でもそれは今までに見たことの無い顔で、
ただただ、嬉しそうな顔をしていた。
その顔は反則である、言葉では言い表せないような気持ち。
胸が締め付けられる様な
嬉しい様な
でも何故か泣きたくて
涙は出そうなのに口角は上がりそうで
今が人生で1番幸せだと感じる
そして私の顔から手が離れ、距離も少し遠くなる。
嗚呼、寂しい。
だがこれで話は終わった。体育館へ帰るのか、と思いきや
「で、何してくれるの？」と言われた。
全然意味がわからない。
「なんの話？」と聞き返すと
「僕だってあんな態度で傷付いたんだよね、
それなのにごめんで済ませるつもり？」
と言われたら黙るしかない。でも私に出来ることなどない。
仕方ないから、と彼は言った。
「名前。呼んでくれたらそれで許してあげる」
ハードルが高い。高すぎる。
今まで心の中では名前で何度も呼んだ。だが、
本人に向かって名前を呼ぶ事は未だしたことが無いのだ。
「む、むり、、」と言うと、は？と眉間にシワがよる。
名前で許して貰えるだけマシだろうか。
早く、と催促されやっと、独り言のように小さな声で
「蛍くん、、」と言った。それには聞こえない。と
あっさり返されてしまったのだが。
こっちは頑張っているのに。
もう一度、今度は聞こえるように
「蛍くん」とはっきり言った。これで文句は言えないだろう。
まあ彼は呼び捨てで呼べと言ってきたのだが。
消えてしまいたい。と何度も思いながら、勇気をふりしぼり、もう一度だけ、
頑張れ私の心臓。
「蛍。」
言えた。しかも顔をしっかりと見た。目を合わせて言った。
かなり頑張った。
してやった、と私は油断した。
頭を抱えられ、彼の胸板に顔がそっと押し当てられる。
感じるのは耳元に寄せられた唇の感触、彼の吐息と
「よく出来ました、A。」
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きょん(プロフ) - 満月さん» ありがとうございます！私は小説を書くのはこれが初めてで稚拙で分からないことも多いですが、初心者なりに精進していこうと思っております。これからも宜しくお願いします。本当にありがとうございました (2018年7月31日 1時) (
レス) id: 5a2ab23246 (このIDを非表示/違反報告)
満月 - 今日見つけて読ませて頂きました。とっても面白かったです！更新頑張って下さい！！ (2018年7月30日 21時) (レス) id: d83bdf162b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょん | 作成日時：2018年7月29日 17時
