三月一日 ０個目 �� ページ2
あれは確か、私が授業をサボり出した最初あたりの時期だったと思う。
その日は雨だった。
屋上を愛用していた私にとっては思ってもない不幸だった。
別のサボり場所はないかと探している時、たまたま通りかかったのは、美術室。
特に深い意味もなかった。でも。先生との面識もあるし、なんだかんだ優しい先生だ。
許してくれそうな気がして、中に入った。
先生は居なかった。多分、美術準備室だろうな。と思い、椅子を壁際に動かし、読書をしようとした。けど、一枚の絵が目に入った。
海。夕焼けの。
まだ、未完成だった。けど、それは確かに、私が先生に言った『夕焼けの海が好きだ。』という言葉を元に作られたものだった。
「何してんの？A」
『あ。先生。』
不意に声をかけられ、内心驚愕しつつも、声や顔には出さない。
「もうすぐ一時間目始まるだろ。」
その言葉をはなった瞬間、予言していたかのようにチャイムがなった。
「ほら。」
『んー。良いんですよ。サボりですから。』
「お前なぁ。」
そうは言いつつも、無理矢理私を教室へとは返そうとはしなかった。
『ていうか、先生風景画描けるんですね。』
「お前、俺の事馬鹿にしすぎだろ。描けないと、美術の教員なんてやってない。」
『へぇ〜。やっぱ凄いですね。私と次元が全然違う！』
まるで、本物の写真のようだった。いや、むしろ写真よりも綺麗だと言っても過言ではない。
未完成でもここまでの美しさを紙に写し出せる先生は凄い。私も、こんな風に絵を描いてみたいものだ。
「それで、お前は早く戻った方がいいんじゃないのか？」
『だから、サボりですって〜！』
確かに、教員側からすれば、生徒がサボりに来たのをやすやすと認める訳には行かないだろうし、寧ろ迷惑だろう。
「…はぁ。仕方ないな。バレないようにしろよ。」
『はーい。』
だから、なんだかんだ言って居させてくれる先生は優しいな。といつも思っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1019人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
語夏(プロフ) - 亞鬼さん» ありがとうございます！！今日公開しようと思っていましたが、間に合わなかったので明日になります！すみません！続編までこの作品を続けられるのは、亞鬼さんのようにコメントしてくれたり、読んだりしてくれてるおかげです！本当にありがとうございます！ (2019年3月8日 0時) (
レス) id: 99eb2d4362 (このIDを非表示/違反報告)
亞鬼 - 続編おめでとうございます！ (2019年3月7日 22時) (レス) id: dff663d9bb (このIDを非表示/違反報告)
語夏(プロフ) - 麗さん» キュキュン要素を取り入れたいので、そう感じていただけると凄く嬉しいです！それに加えワクワクもして頂けるだなんて自信がついて嬉しいです！！とても素敵だなんて私には勿体ない言葉な気がしますが、すごく嬉しいです！コメント本当にありがとうございます！ (2019年3月7日 22時) (レス) id: 99eb2d4362 (このIDを非表示/違反報告)
麗 - キュンキュンワクワクしながら読ませてもらっています。とても素敵な作品です！！ (2019年3月7日 19時) (レス) id: 8656a872ff (このIDを非表示/違反報告)
語夏(プロフ) - 高木さん» すごい面白いだなんてそんなこと言ってもらえるなんて嬉しすぎます！！先生とのやり取りにそう感じて頂けたのは嬉しいです！ちゃんとキュンキュンなるようにかけてるか不安だったので(--;) 応援ありがとうございます！コメント本当にありがとうございます！ (2019年3月7日 0時) (レス) id: 99eb2d4362 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
