初恋 (木村柾哉) (ページ37)

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あの後、部活は戻ったけど足を怪我した京介は見学する事になった。

将「お大事にね。」

拓「ゆっくり休めよ。」

「ありがとうございます。」

「明日からどうやって学校来よう、」

『車とか？』

「いや、親に迷惑とかかけたくねえし」

『んー、じゃあタクシー？」

「そんな金ない！」

『じゃあ、「まっきー！！」』

「...、げ、」

京介のことをまっきーと呼ぶ人は一人しかいない。

そして京介の少し嫌そうな顔から、声の主は振り返らずともわかる。

そう、声がした先に居たのは西さん。

と、

『木村先輩だ、』

隣には木村先輩が立っていて。

ものすごく、視線を感じる。

「A、」

『早く帰ろ、』

「待って」

『なに、』

「またそうやって逃げんのかよ、」

京介からの説教は、この数日間で2回目。

またそうやって木村先輩から逃げるの？

いや、

もう、この前の私とは違うんだ。

『....、っ、逃げない、』

そんな事を話していたら二人の影はだんだんと大きくなって。

西「古屋ちゃん久しぶり」

『ど、どうも。』

西「え、まっきーなんでそんなに包帯ぐるぐる巻きなの」

「あー、ボールあたっちゃって。」

西「ぐるぐる牧京介！！なんつって！！！！」

「しょうもな、」

西「おい、しょうもないとか言うな」

仲良く二人で盛り上がり、出来上がっている二人の世界とは

裏腹に、目の前の木村先輩と私の間には

なんとも言えない気まずい空気が流れている。

あれから木村先輩とはもちろん話していない。

今だって、

目すら合わない。

そんな私たちの沈黙を破ったのは、

「腹減った。A早く帰ろ」

『う、うん。』

「歩けないから肩貸せ」

と、私の腕を掴んでは自分の方へ引き寄せた。

『、っ、...ちょ、』

京介は自分の腕を私の肩へ回し、

「じゃあ、失礼します。西さんと、

木村先輩。」

なんて嫌らしく木村先輩を睨んで、

"痛いからゆっくり歩けよ" なんて体重を預けてくる京介。

柾「...、あの二人あんな仲良かったっけ、」

西「さあ？」

なんて会話が起こっていることは知ることもなく。

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