初恋 (木村柾哉) (ページ31)

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「『...』」

頑固な京介に無理やり連れてこられたのはファミレス。

奢るって、ファミレスかよ！って突っ込みたい

『私、木村先輩に告白した』

「は？」

『好きって言ったの。木村先輩に。』

『え、なに』

京介はただでさえでかい目を思い切り開いてこちらを見ている。

「やべ、コンタクト乾いた、

いやそんなことどうでも良くて、

いま告白したって言った？」

『うん。一目惚れしましたって』

「どういう流れよ」

この間木村先輩の彼女さんに呼び出された事、

でもそれは彼女さんじゃなく元カノだった事、

元カノさんの名前は花音さんって事、

その花音さんに木村先輩が利用されてた事。

全てを話した。

「で、返事は？」

『聞いてない』

「なんで」

『なんでって、聞けるわけないでしょうが。

弱みに漬け込んで告白して返事しろなんて最低でしょ』

「じゃあなんで泣いてたの」

ん？泣いたことがなんで京介にバレてんの、

もしかして女子トイレまで来た？そんなバカな、

『なんで泣いたって知ってんの』

「そりゃあんなブサイクな顔で教室入ってきたらねえ、」

『ひど。』

もうちょっと落ち着いてから教室戻ればよかった。

考えなくてもわかるさっきの涙の理由(わけ)は

『きっとさ、木村先輩はまだ花音さんが好きなんだと思う』

好きな人に彼女が居て、悲しくなって。

でもそれは彼女じゃないってちょっと安心して。

でもそれはきっとまだ彼の好きな人で。

『木村先輩に振り回されてばっかだな、笑』

「じゃあさ、木村先輩のことなんか忘れちゃえばいいじゃん」

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