初恋 (木村柾哉) (ページ29)

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『私なら、、そんな顔させないのにって、』

「...、どういうこと、」

『木村先輩が、好きなんです』

「え、っ、」

口を開き驚いた表情をした木村先輩は瞳を大きく開き瞳(それ)は今にも落ちてきてしまいそう。

『一目惚れしました。部活動紹介のとき、踊ってるのを見て。

ダンスなんてしたことないし何もわからないけど、でも

木村先輩から目が離せなかっです。』

「...、そんな前から、」

『だから、木村先輩が他の誰かとお付き合いしてるのも

嫌だけど、木村先輩が悲しんでるのはもっと嫌なんです。』

「古屋さん、」

『えっと、...木村先輩には笑顔で居てほしいっていう意味です。

ただ、それだけです、！』

違う。私はこんなにも木村先輩を想っていると伝えたい。

私なら木村先輩に悲しい顔をさせないと言いたい。

でも、弱みに漬け込むなんて事はしたくない。

「...、古屋さん、俺、」

『返事とか、そういうのが欲しいとか、そういうのじゃなくて

なんていうか、その、元気、出してほしくて。

木村先輩には人を惹きつける力があるって事を知ってほしくて。

ただ、それだけです。』

好きな人の幸せが自分の幸せなんていうひとがいるけれど

そんなことは綺麗事で。

自分で言ったはずなのにだんだんと何かぎ込み上げてきて。

「、え、古屋さん、」

『っ、失礼します』

だけど虚しくも抑えていたものは頬を伝い止まることを知らない。

全てを木村先輩に押し付けてしまった私はもう、屋上の階段を駆け降り、トイレで声を殺して泣くことしか出来なかった。

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