初恋 (木村柾哉) (ページ27)

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次の日、朝。

下駄箱にいつも履いている上履きと、メモ帳。

何かと思って畳まれたそれを開く。

" 昼休み、屋上でまってます。木村 "

丸くて、可愛らしい文字。木村先輩、こんな字書くんだ。

そして、昼休み屋上へ向かった。

(ガチャ)

『...、木村先輩、』

「古屋さん、ごめんね、手紙なんかで呼びだして。

クラス行ったら嫌かなって思って。」

『いえ、』

「長くなっちゃうけど、古屋さんには言っておきたいんだ。」

『はい、』

「昨日居たのが、俺が去年付き合ってたひとで、

名前は富田花音(とみたかのん)。

一応、ダンス部のマネージャーなんだ。

俺ももちろん、好きだったし、

花音も俺のこと好きでいてくれてると思ってた。

でも、違った。

花音が本当に好きだったのは、

洸人。

洸人に近づくために、俺と付き合ったんだ。

洸人と家が近くて、いつも一緒に帰ってるからって、

3人で帰ることもよくあった。

花音が、" 洸人くんも一緒に帰ろうよ " ってよく言ってた。

俺と帰りたいからでも、洸人が1人になっちゃうからでもない。

花音が洸人と帰りたいから。」

淡々と話すけど、西さんといるときに見せる

木村先輩の笑顔じゃない。

消えてしまいそうな、そんな笑顔。

『そんな、』

「洸人はなんにも悪くないからね。」

『でも、なんで西さんに告白しなかったんでしょう、』

「あいつ中学から付き合ってる彼女いるんだ」

『なるほど、』

西さん、彼女いたんだ。

意外。京介や西さんみたいに、

見た目がチャラいほど、一途である不思議なこの世界。

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