初恋 (木村柾哉) (ページ26)

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京介side

いつも、部活に行く時はAと一緒。

着替えて、マネージャーの荷物を一緒に持っていく。

Aは着替えるのが遅いからいつも待ってるけど。

でも今日は、いつもに増してAが来ない。

「お！まっきーじゃん」

「西先輩、こんにちは」

「なに？誰待ち？」

「Aです」

「古屋ちゃん？さっき外のトイレで見たよ？」

「え、」

「まっきー置いてかれちゃったんだ〜」

外のトイレがあるのは体育館の近く。

部室もグラウンドも近くはない。

「他に、誰かいました？」

「んー、女の子といたよ？遠かったから誰かはわからないけど、多分うちの学年かな？」

三年生の先輩で、Aを連れていくひとなんて1人しか思い浮かばない。大丈夫かなA。

「じゃ、おれ部活いくから。じゃあねまっきー」

「あ、はい」

喋るの2回目なのに西先輩は相変わらずまっきー呼びかよ、

いや、そんなことどうでも良くて。

行った方がいいかな、でもトイレで待つのキモイかな、

なんて思ってた時だった。

「あの子のどこがいいの、」

なんて泣きながらこちらへ歩いてくる木村先輩の彼女さんと、それを励ますもう1人の先輩。

" あの子 " というのはAの事だろうか。

2人、もしくは木村先輩との3人の間に何かあったんだ。

なんて考えていたら小走りで俺の元に走ってくる、知っている姿。

「A」

『ごめん京介遅くなった。行こっか。』

「うん、あ、そうだ。さっき柾哉先輩の彼女さんが泣いて

帰ってくの見たけど2人なんかあったのかな？」

何かあったのか、何かされたのか。気になって聞いてみたけど

Aは何も知らないとピアスを触りながらそう言った。

それは最近気づいた、Aが嘘をつくときに必ずする仕草。

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