初恋 (木村柾哉)

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「A」

『ごめん京介遅くなった。行こっか。』

「うん、あ、そうだ。さっき柾哉先輩の彼女さんが泣いて

帰ってくの見たけど2人なんかあったのかな？」





泣いてたんだ。先輩。

それもそうだ。好きな人が奪われたみたいな感覚なのだろうか。

私にはわからないけど。






『いや、知らないかな』

「そう、」















「マネ、ジャグに水入れてきて〜」






「『はーい』」







『私行きます！』

「ほんと？また水かけられないようにね笑」

『ふふ、はい！』

「お願いしま〜す」







顧問に頼まれ、また体育館近くの水道へ行く。

いつもはあまり利用されない蛇口に、今日は先客が。










『こんにちは、西さん、』

「古屋ちゃん。さっきぶり。また雑用？」

『雑用じゃないです。立派な仕事です。』

「そうだったわ、ごめんごめん

柾哉から聞いたよ。大丈夫だった？」

『まあ、なんとか。』

「気づいてるかもだけど、あれが柾哉の元カノ。」

『はい。わかってます。』









「まあ、それ以上でもそれ以下でもないけど、


古屋ちゃんなら、柾哉のこと任せられるかもとか思ってる。」






任せられる？何を？どういうこと？







『どう言う意味ですか？』

「いや、こっちの話。」

『そうですか、』

「じゃあ、俺行くね。また相談乗るからね！」

『はい、さよなら』







さっきの西さんの言ったことが気になるけど、

今日は水をかけられなくてよかった。









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