初恋 (木村柾哉) (ページ20)

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結局あの後京介と言葉を交わす事もなく。

悲しくて、苦しくて、頭がゴチャゴチャで気づいたら眠っていた。

「えー、今日の日直は？古屋か？」

『あ、はい、』

「俺、この次3年3組で授業あるからさ、これ持って行って。」

『え、』

「よろしくな。あ、あと藤牧話あるからちょっと来て」

１時間目が終わった10分休み。突然先生から与えられた仕事。

しかも3年3組は木村先輩と西さんのクラス。

『終わった。京介なんかやらかしたの？』

「は？やらかしてる訳ねーだろ」

『代わりに行ってきてよ、』

「ん？今聞いてなかった？俺呼び出されたの。」

京介に頼もうと思ったけど呼び出されていて、10分の間に3階の教室まで行かないといけない。

木村先輩、ましては彼女さんに会っちゃったら嫌だな。

二人が教室に居ないことを願うしかなかった。

『失礼します、』

先生に頼まれたのはプロジェクターの機材。
パワポを使うこの先生にとってプロジェクターは必須。

「あー！古屋ちゃん！」

『げ、』

「え、いま"げ" って言った？」

『言いました。』

「否定してよー！」

西さんは、きっと知らない。

私が木村先輩に彼女がいることに気づいていることに。

だからなんだか気まずくて、早くこの場を立ち去りたい。

西先輩に、バレる前に。

木村先輩が、来る前に。

でも、そんな願いも虚しく。

「あれ、古屋さん何でここにいるの？」

『、木村先輩、』

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