初恋 (木村柾哉) (ページ16)

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その日の昼休み、京介とご飯を食べている時、廊下から名前を呼ばれ、振り返った。

入り口に立っていたのは知らない女の先輩。

『なんでしょう、』

「ちょっと、野球部のことで聞きたいことがあって！」

そんなの三年生の部員に聞けばいいのに、なんて思いながらも、先輩に着いて行った私が馬鹿だった。

連れてこられたのは生徒があまり来ることのない北校舎。

『話ってなんですか、』

「柾哉と、もう関わらないで」

突然言われた言葉に、頭が追いつかない。

『なんでですか、』

「私、柾哉と付き合ってるから。」

"付き合っている" そんなはずない。

だって西さんは木村先輩に彼女はいないと言っていたはず。

『ほんとですか、それ。』

「うん。ほら」

と見せてきたのは木村先輩と夢の国のお城の前で中良さそうに肩を並べている写真。

『....、っ、』

見たくなかったな。こんな風に笑うんだ、木村先輩。

「わかった？だからもう柾哉と関わらないでね。」

それだけを言い放ち、早々と先輩は教室を出て行った。

京「おかえり何の話だったの？」

『なんか、部活の話』

京「部活の話ってなによ」

『なんでもない』

京介は、それ以上何も聞いてこなかった。

5、6時間目の授業なんて、話に入って来なくて、もう着替えて部活に向かわなきゃいけない時間。

拓「Aちゃん、昨日ホンマごめんな！」

『平気だってば！私が見てなかったのも悪いし。』

拓「昨日、京介にめちゃくちゃ怒られてん。」

『え？京介？』

拓「お前次は無いからなって言われた。めちゃくちゃ怖かったで？思い出したく無いもん」

『わざとじゃないのにね。』

なんで京介が怒るんだろ、私が怒るのはわかるのに。

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